第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション5(I-P05)
術後遠隔期・合併症・発達 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:豊野 学朋(秋田大学大学院医学系研究科機能展開医学系 小児科学講座)

[I-P05-03] フォンタン術後の夜尿症

菅本 健司, 桑田 聖子, 高梨 学, 斎木 宏文, 先崎 秀明 (北里大学 小児科)

キーワード:フォンタン, 夜尿症, ミニリンメルト

【背景】フォンタン術後患者の場合、度重なる入院や検査、治療のストレス、微細脳障害、精神発達遅滞等から夜尿症の頻度が高いかもしれない。また夜尿症治療で頻用されるミニリンメルト(デスモプレッシン)を使用する場合、水分貯留、低ナトリウム血症に留意する必要があり、Fontan術後患者においてはその安全性に関する情報は重要である。【方法】後方視的にフォンタン術後患者37例の夜尿症の頻度を検討した。夜尿症の定義は、5歳以上で月に一回以上の夜尿が3カ月以上続くものとし、さらに一週間に4日以上を頻回、それ以外を非頻回とした。また夜尿症の治療としてミニリンメルトを用いた症例の有効性、安全性についても検討した。【結果】 フォンタン術後患者に認められる夜尿症は8例(22%)であり、一般の頻度(約10%)に比し多かった。さらに全例が頻回であった。夜尿症の治療として、ミニリンメルトを使用されていたのは3例で、2例は夜尿症が完全緩解し、1例は不完全緩解であった。夕食後の利尿剤の使用有無は夜尿経過に影響を与えなかった。ミニリンメルト使用に伴う低ナトリウム血症(血清ナトリウム<135mEq/L)、体重増加、浮腫、心不全の悪化を認めた症例はなかった。【考察】 フォンタン術後患者における夜尿症の頻度は、一般の頻度に比べて多いと考えられる。フォンタン術後では多系統の臓器障害が起こることが知られており、夜尿症は視床下部からのADH分泌不全、あるいは膀胱の未成熟、あるいは膀胱の自律神経障害である可能性もあり、今後の検証に値する。治療薬としてのミニリンメルトの有効性と安全性はフォンタン患者においても高く、積極的に使用を考慮するに値する薬剤と思われる。