[I-P06-04] フォンタン適応の内臓錯位症候群で消化管軸捻転を発症した症例の経験
Keywords:胃軸捻転, 内臓錯位症候群, 単心室
背景・目的:フォンタン(F)適応の内臓錯位症候群(HS)は,複雑な心奇形,不整脈及び易感染性等様々な合併症で今でも生命予後(予後)やF到達率が悪い疾患群である。中でも腹部臓器合併症(AbdC),特に消化管軸捻転(volv)は破裂すると致死率が高い。2001年以降当院で状態安定時期にvolvを発症した症例が4例あり,破裂前に外科治療を行う必要性を痛感させられたため報告する。症例1:男性,無脾症,unbalanced AVSD,水平肝。4歳(F後9か月)時に夜間急な嘔気,嘔吐と激烈な腹痛を訴え当院に緊急入院。腹部X線(腹単),消化管造影(造影)で胃破裂と判明し緊急手術を行ったが,術後腹膜炎を併発し60PODにMOFで死亡。症例2:男性,無脾症,SRV,水平肝。1歳10か月(グレン直後)時に嘔気,嘔吐を繰り返すため腹単,造影,CTを行いvolvと判明し胃管留置し減圧を試み2日後腹単で自然整復を確認した。再発防止のため準緊急的に胃固定術を行い4歳時Fに到達できた。症例3:女性,無脾症,SLV,水平肝。13歳(F後10年)時給食中に腹痛,嘔吐を認め,地元病院でvolvと診断され胃管挿入で減圧し自然整復を認めた。再発防止のため4か月後に当院で胃固定術を行い元気にしている。症例4:女性,無脾症,SV。3歳(F後6か月)時にプレショックとなり緊急搬送された。地元の病院で精査し消化管穿孔が判明し種々治療がなされたが回復せず死亡。総括:F適応のHSは予後とF到達率は今でも満足いく成績ではない。予後に関わる原因の1つに頻度は少ないがAbdCがある。腸回転異常等はイレウスを発症すると命に関わるため発見次第Ladd術を行った方がよいという意見と一方,無症状時に予防的治療を行う必要はないという意見と以前から議論が交わされている。ただvolvで破裂すると致死率は高く,発症前に一度は腹部エコーで臓器の位置関係,位置異常の有無を検索しそれが疑われたら患者家族と相談し造影やCTを行う等循環器科医としてもAbdCも常に念頭に置き日常診療を行う必要がある。