[I-P10-01] 当院における新生児心筋症の臨床像
Keywords:肥大型心筋症, 拡張型心筋症, 心筋緻密化障害
【背景・目的】新生児発症の心筋症の予後が不良であることは以前から指摘されているが、まとまった報告は少なく、重症例では心臓移植の適応も考慮される。今回当院で新生児期に診断された心筋症5例の臨床像を検討した。【方法】対象は2004年1月から2018年12月の15年間に当院で心筋症と診断された新生児で、診断に至った契機、基礎疾患の有無、治療内容、転機について診療録を元に後方視的に検証した。【結果】最終診断は、閉塞性肥大型心筋症3例、拡張型心筋症1例、心筋緻密化障害1例で、胎児診断症例はなかった。閉塞性肥大型心筋症と心筋緻密化障害は心雑音を契機に診断となった。拡張型心筋症は活気不良を契機に診断された。基礎疾患はNoonan症候群1例、LEOPARD症候群1例で、治療内容は全例にβ-blockerが使用されており、拡張型心筋症と心筋緻密化障害で利尿剤とACE阻害薬が併用されていた。死亡例は拡張型心筋症1例で、心臓移植例はなかったが心筋緻密化障害は入院時から心不全を認めており、移植も視野に入れ外来フォロー中である。【考察・結論】閉塞性肥大型心筋症では3例中2例がNoonan症候群とLEOPARD症候群のRAS/MAPK関連疾患であり、新生児期に診断された肥大型心筋症ではこの基礎疾患の存在に留意して診断を進める必要がある。新生児期の拡張型心筋症と心筋緻密化障害は心不全の進行が早く、心臓移植を含めた計画的な管理が重要と思われた。