第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心筋・心膜疾患

ポスターセッション11(I-P11)
心筋・心膜疾患 2

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:中川 雅生(京都きづ川病院)

[I-P11-02] Isolated RV apical hypoplasia 3例の臨床像

川口 直樹1, 宗内 淳1, 渡邉 まみ江1, 杉谷 雄一郎1, 松岡 良平1, 大淵 典子2 (1.九州病院 小児科, 2.山口赤十字病院 小児科)

キーワード:心筋症, 右室低形成, 心不全

【背景】孤立性右室心尖部低形成(Isolated RV apical hypoplasia:RVAH)は右室心尖部構造が欠損し、同部を左室心尖部が巻き込む特異的な形態を特徴とし、稀な疾患で罹患率や予後は不明である。
【症例1】7歳男児、学校検診の心電図異常から精査に至った。心臓カテーテル検査で右室心尖部欠損と内膜平滑化と認め、右室駆出率は低下していた(37%)。更に左室心尖部は右室心尖部を巻き込むような形態であり、左室駆出率低下(駆出率47%)を認めた。冠動脈造影では右室枝が乏しい印象であったが、冠動脈の起始異常や狭窄はなかった。現在11歳、自覚症状なく経過している。【症例2】1か月女児、心雑音とチアノーゼから精査に至り、心臓カテーテル検査で右室心尖部が欠損しており、右室低形成(RVEDV 88%N)、駆出率低下(42%)、内膜平滑化、流出路筋性狭窄(右室圧45/5mmHg、 肺動脈圧16/7mmHg)と心房間右左短絡を認めた。更に左室拡大(LVEDV 198%N)と心尖部の収縮低下(駆出率53%)を認めた。現在4歳、LVDd 87%N、LVEF 59%で経過している。【症例3】1か月女児、胎児期に右室低形成を指摘、38週3005gで出生、PDA 閉鎖後にSpO2 75%に低下した。心臓カテーテル検査で右室心尖部は欠損し、右室低形成(RVEDV 51%N、 三尖弁輪径 79%N)と心房間右左短絡を認めた。右室駆出率67%、右室圧23/6mmHgであった。左室心尖部は右室心尖部を巻き込むような形態で、左室駆出率低下(51%)を認めた。現在5歳、LVDd 89%N、LVEF 61%でβ遮断薬内服を継続している。
【考察】自験3例は現在まで心不全や不整脈の合併はないものの左室拡大と駆出率低下を伴っており、今後の臨床経過に注目したい。疾患概念確立のため全国調査などを行う必要がある。