第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション12(I-P12)
染色体異常・遺伝子異常 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:与田 仁志(東邦大学医療センター大森病院 新生児科)

[I-P12-04] 18トリソミー児の先天性心疾患に対する外科的介入による生命予後への影響

藤岡 泰生1, 岡村 賢一2, 吉原 尚子1, 鈴木 登士彦2, 中尾 厚3, 小林 城太郎2, 土屋 恵司1 (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.日本赤十字社医療センター 心臓血管外科, 3.日本赤十字社医療センター 新生児科)

キーワード:18トリソミー, 先天性心疾患, 心臓手術

[背景]心室中隔欠損(VSD)や心房中隔欠損(ASD)をはじめとした先天性心疾患(CHD) は18トリソミー(T18)の約90%に合併し, 重要な予後因子である. 近年, CHDに対する外科的介入により生命予後が改善するという報告が散見される. [目的]CHDを合併したT18に対する心臓手術の生命予後への影響の検討. [方法] 2005年1月から2018年12月に当院に受診歴がありT18と診断されていた症例を心臓手術介入群(CHS群)と心臓手術非介入群(nCHS群)に分け, 診療録から患者背景と予後を後方視的に検討した. [結果] 研究期間中に106例のT18が当院で検査・治療を受けていた. 出生時から全身状態が不良で日齢2以内に死亡した8例を除外した98名に関して検討を行った. 97名にCHDの合併を認め, 主疾患の内訳はVSD70例, 両大血管右室起始14例, 大動脈縮窄複合5例, 大動脈弓離断複合2例, ファロー四徴3例, 房室中隔欠損2例, 動脈管開存(PDA)1例であった. CHS群(n=68)とnCHS群(n=30)の男/女比, 在胎週数, 出生体重, Apgar score 1分値, 5分値はそれぞれ24/44 vs. 7/23 人(p=0.346), 37.7±2.6 vs. 37.0±2.4週 (p=0.194), 1801±392 vs. 1669±430g (p=0.149), 4.3±2.4 vs. 4.5±2.2 (p=0.718), 7.4±1.6 vs. 6.9±1.8 (p=0.224)であった. CHS群68例のうち姑息手術のみが53例, 二期的根治術が12例, 一期根治術が3例で, 姑息手術65例の内訳は, 肺動脈絞扼術(PAB)+PDA closureが42例, PAB単独が10例, 両側PABが7例, PAB+大動脈形成術が3例, PDA closure単独が2例, BT shunt造設術が1例であった. 観察期間は0-5154日(中央値291日)で, CHS群, nCHS群の1年生存率, 5年生存率はそれぞれ78.0 vs. 58.7 %, 53.0 vs. 35.2 %であり、Log-rank検定では両群間に有意差は認めなかったが (p=0.0826), 一般化Wilcoxon検定では有意差を認めた(p=0.018). [考察と結語] 先天性心疾患を伴う18トリソミーに対する心臓手術は中期的な生命予後を改善する可能性がある.