第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

胎児心臓病学

ポスターセッション14(I-P14)
胎児心臓病学 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:桃井 伸緒(福島県立医科大学 小児科学講座)

[I-P14-04] 非心臓手術施設としての10年間の胎児心エコー検査について

佐藤 工, 佐藤 啓 (国立弘前病院 小児科)

キーワード:胎児心エコー検査, 非心臓手術施設, 継続性

【はじめに】胎児心エコー検査(検査)の診断精度の維持と見逃し回避のためには検査の「継続性」が重要であるが、非心臓手術施設である当院では、紹介例のみでは継続的な検査を維持することが難しい。【目的】10年間の検査成績をまとめ、診断精度と問題点を検証すること。【対象】2008年5月から10年間に検査を実施した胎児4728例(平均27.70±2.45週)。【方法】木曜日を検査外来として、原則毎週検査を実施し、有所見例は2回以上再検した。エコー装置はHITACHI社製ProSoundα7またはF75を用い、全例レベルIIの検査を行った。加えてTGAや血管輪、TAPVRおよびVSDの見逃し回避を念頭に、(1)両大血管の起始とdes Aoへの連続性、(2)des Aoの位置、(3)PAの左右分岐、(4)気管の位置、(5)LA後方の脈管の有無と左右PV還流、(6)IVSのdefectを強く意識した慎重なscan、以上についてカラーDopplerを併用して実施・確認した。全ての動画をDVDに録画し、所見を専用記録用紙に記載した。【結果】VSD24例、complete AVSD、DORV、Ebstein奇形、TAC、double aortic arch各2例、PA/VSD、TOF、isolated RV hypoplasia、TV dysplasia、congenital MR、HLHS、SV(asplenia)各1例、situs inversus totalis(SIT) 5例、PCDA1例を胎児診断した。不整脈はPAC 19例、SVT1例であった。VSD10例とDORV 1例(SIT例)が出生後に心雑音を契機に診断された。また、胎児TAPVR type IIa、DORV(subarterial type)と診断した例は、出生後各々pulmonary sling 、large VSD と診断された。検討期間中TGAと単独のTAPVRの胎児診断および見逃し例はなかった。【結語】今回の検討では、新生児期に治療介入を要する心疾患の見逃しは寡少であり、安定した検査精度と思われた。非心臓手術施設の限界としてcritical CHDの胎児診断機会に乏しいが、毎週必ず検査を行うことで、検査手技と描出画像の一貫性が維持され、見逃しを回避する重要な一助となる。