[I-P22-02] Ross術後成人期の再手術介入の適応決定のための4D flow MRIの役割:-左右心室および弁機能評価の新たなあり方-
キーワード:Ross手術, 両心室機能, 4DflowMRI
【背景】Ross術後遠隔期には新大動脈弁及び基部、右室流出路に対する治療介入を要することがあるが、その適応は両心室機能の血行動態評価を要し容易ではない。我々は4D flow MRIによる両心系の血流動態評価を行い、介入の要否や治療戦略を選択している。【対象、方法】1997年11月から2017年12月にRoss及びRoss-Konno手術を施行した56例の(術後観察期間11.2±5.8年)うち遠隔期に左室拡大を伴う大動脈弁閉鎖不全(AR)または中等度以上の肺動脈弁逆流/狭窄(PS/PR)を認めた7症例(12.5%)に再治療介入を検討するため4D flow MRIを施行し、左右心室容積係数(EDVI/ESVI)、駆出率、大動脈弁および肺動脈弁の逆流量、異常加速血流、大動脈基部拡大、左心系および右心系のエネルギー損失値(EL)を計測した。【結果】年齢27.4±9.9歳、術後観察期間14.7±4.1年。左心系評価としては、EDVI/ESVI 127.1±52.5/57.4±32.5ml/m2、左心系ELは6.7±5.4mW、35mm以上の大動脈基部拡大を5例に認めた。逆流率40%以上の高度ARを3例に認め、これらはEDVI 160ml/m2またはEL 10mW以上であり、大動脈弁治療介入とした。右心系評価としては、EDVI/ESVI 108.2±25.8/47.8±16.0ml/m2、右心系ELは6.4±1.7mW、3m/s以上の加速を認めるPSを7例、逆流率15%以上のPRを4例に認め、逆流率35.5%の三尖弁逆流を1例に認めた。EDVI 150ml/m2またはEL 7mW以上の4例及びを右室流出路治療介入適応とした。左心系の各種パラメーターと右心系の各種パラメーターとの間に関連はなかった。再介入は右室流出路再建+三尖弁形成+右側Mazeを1例に、基部置換+右室流出路再建を3例に行い、うち1例には僧帽弁形成も同時施行した。【結語】Ross術後の遠隔成績は概ね良好だが弁機能不全による再介入を余儀なくされる症例があり、その際には複合手術を要することもある。4D flow MRIは両心室機能および弁機能を系統的に評価可能でELは遠隔期再手術の適応決定には有益な指標である。