[I-P23-03] IVIG不応型川崎病の治療方針;冠動脈内径を参考にした3rd line治療の選択
Keywords:川崎病, IVIG不応型, 血漿交換
【緒言】川崎病(KD)治療におけるIVIG不応例は一定数存在し、冠動脈病変(CAL)のリスク群である。当院ではIVIG不応例には心エコーを連日行い、冠動脈内径(CAD)が拡大傾向にある症例には3rd line治療として積極的に血漿交換療法(PE)を導入している。【対象と目的】2014年11月から2018年11月までに、KDで加療した264例を対象にIVIG不応例の後方視的検討を行い、冠動脈後遺症の観点から3rd line治療選択の妥当性を検証した。CALの評価はガイドライン(2013年改訂版)、Z scoreを使用し、統計学的検討はMann-Whitney U 検定を使用した。【結果】197例(74.6%)が初回IVIG反応。残り67例中、42例(15.9%)が2回目のIVIGで軽快、25例(9.5%)が3rd line治療を要した。3rd line治療の内訳はIVIGが2例(0.76%)、CyAが9例(3.4%)、IFXが5例(1.9%)、PEが8例(3.0%)。全症例中、心血管合併症は一過性拡大が7例(3.3%)、拡大が3例(1.4%)、心筋炎が1例(0.5%)。PE群、非PE群(IVIG、CyA、IFX)の2群間で3rd line治療開始時の冠動脈 Z score 評価はLMT(3.36[0.5~5.41] vs 1.23[-0.51~4.35] )、LAD(2.54[0.74~4.25] vs 0.45[-1.45~2.59] )に有意差(P<0.005 )がみられたが、RCA(0.83[-0.4~5.05] vs 0.91[-0.62~3.19])、LCX (1.94[0.02~4.32] vs 0.925[-0.81~2.15])に有意差はなかった。発症1か月後のRCA(0.08[-1.24~3.39] vs 0.35[-0.71~2.25])、LMT(2.1[0.09~3.45] vs 1.17[-1.51~3.39])、LAD(1.34[-0.28~3.43] vs 0.52[-1.12~1.66])、LCX(0.685[-0.91~1.67] vs 0.26[-1.86~1.53])に有意差は見られなかった。【結語】当院のPEを含めたKD治療戦略において中等瘤以上のCAL を残した症例はなかった。CAD、Z scoreを参考にした3rd line治療選択は有用である可能性があると思われた。