[I-P24-01] 川崎病及び類似の発熱疾患の発症早期における冠動脈拡張に対する血圧の関与
キーワード:川崎病, 冠動脈, 血圧
【背景】 川崎病や類似の症状を来すその他の発熱疾患において、発症早期から冠動脈拡張を来たす症例がしばしば経験される。急性期の冠動脈拡張は、血管炎に伴う血管壁の脆弱化による血管内圧への抗力低下が機序とされる。そのため、血圧は冠動脈病変発生に重要な因子と考えられる。【目的】 川崎病発症早期の冠動脈拡張における血圧の関与について検討する。【方法】 2016年1月から2018年4月に当施設(一次医療機関)で川崎病または川崎病を疑われ発熱14日以内に心臓超音波検査を行った症例を後方視的に検討した。冠動脈の形態異常、描出不十分である症例を除外した。Z score>2の冠動脈拡張を来した症例を冠拡張群、冠動脈拡張を認めない群を対照群とした。血圧は治療前の値を採用し、性別・年齢・身長から計測されるパーセンタイル値とした。収縮期血圧、拡張期血圧、CRP、D-dimerについてそれぞれ統計解析を行った。【結果】 冠拡張群は20例(16%)、対照群は106例であった。性差は冠拡張群で男児10例(50%)、対照群で67例(63%)であった。年齢中央値はそれぞれ1歳(2か月-4歳)、2歳(3か月-10歳)であった。治療法は冠拡張群、対照群の順に1st line 13例、76例、2nd line 4例、20例、3rd line 3例、1例であった。なお、IVIG未施行例は対照群の9例であった。拡張期血圧の中央値はそれぞれ95、90パーセンタイルであり、冠拡張群で有意に高かった。冠拡張群は全例が川崎病であり、2例が発症1ヶ月後も拡張が残存し、その他は自然退縮が得られた。拡張部位は右冠動脈が5例、左冠動脈が19例であった。【結論】 川崎病及びその他の発熱疾患で冠動脈拡張を来す症例は拡張期血圧が高く、冠動脈病変の指標となりうる。年齢・体格に応じた評価を行うことが重要である。