第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション24(I-P24)
川崎病・冠動脈・血管 2

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:唐澤 賢祐(唐澤医院 / 日本大学医学部附属板橋病院 小児科)

[I-P24-03] 不全型川崎病の診断における血清HDLコレステロール値の有用性

福井 沙織1,2, 関 満2, 鈴木 峻2, 野崎 靖之1, 安済 達也2, 古井 貞浩2, 岡 健介2, 松原 大輔2, 佐藤 智幸2, 片岡 功一2, 山形 崇倫2 (1.新小山市民病院 小児科, 2.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科)

キーワード:不全型川崎病, 診断, HDLコレステロール

【背景】川崎病急性期では血管炎を反映して様々な生化学検査所見を呈し、血清脂質異常としてはHDLコレステロール(HDL-C)の低下が知られている。不全型川崎病は定型川崎病と同程度の冠動脈合併症のリスクを有するもの早期の確定診断に苦慮することが多く、簡便で有用な不全型川崎病の診断指標が求められている。【目的】不全型川崎病の診断におけるHDL-C測定の有用性を検討すること。【方法】2016年1月から2018年12月までに当院に入院した不全型川崎病37例と川崎病との鑑別を要した発熱症例58例を対象とし、患者背景およびHDL-Cを含む血液生化学検査指標を診療記録から後方視的に分析した。【結果】月齢は不全型川崎病群4-105か月(中央値26.0か月)、対照群0-125か月(中央値31.5か月)、川崎病診断項目数は不全型川崎病群2-4項目(中央値4.0項目)、対照群2-4項目(中央値2.5項目)であった。検査病日は不全型川崎病群6.2±1.9日、対照群5.9±2.8日と両群で有意差がなかった。HDL-Cは不全型川崎病群では対照群と比較して28.9±8.5 mg/dl vs 35.1±12.3 mg/dlと有意に低値であった(p=0.01)。また、Alb(3.36±0.34 mg/dl vs 3.85±0.39 mg/dl, p<0.01)、CRP(6.46±4.75 mg/dl vs 3.65±3.85 mg/dl, p=0.02)、好中球%(62.6±17.5% vs 48.1±22.3%, p=0.03)で両群間に有意差を認めた。【考察】今回、不全型川崎病では同等の有熱期間での比較において川崎病との鑑別を要した対照発熱群よりもHDL-Cは有意に低値を示し、川崎病の病態を反映しているものと考えられた。血清HDL-C値は比較的簡便に測定可能であり、臨床症状から鑑別が困難な不全型川崎病の早期診断に有用である可能性がある。