第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

一般心臓病学

ポスターセッション25(I-P25)
一般心臓病学 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:杉山 央(東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児・成人先天性心疾患科)

[I-P25-02] 純型肺動脈閉鎖(重症肺動脈弁狭窄症を含む)の初期治療

三木 康暢1, 田中 敏克1, 松岡 道生1, 亀井 直哉1, 小川 禎治1, 富永 健太1, 城戸 佐知子1, 日隈 智憲2, 松久 弘典2, 大嶋 義博2 (1.兵庫県立こども病院 循環器科, 2.兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:純型肺動脈閉鎖, 三尖弁輪径, 右室拡張末期容積

【背景】純型肺動脈閉鎖の初期治療の選択は、施設により外科的・カテーテルによる肺動脈弁形成いずれも行われており、同時あるいはその後にBT短絡が必要となることも多い。
【方法】1998年から2018年の21年間に当院で治療を行った純型肺動脈閉鎖および重症肺動脈弁狭窄症49例のうち、転院例3例・術前死亡1例を除く45例を対象とした。初期治療の内訳、術前エコーによる三尖弁輪径Zスコア・カテーテルによる右室拡張末期容積との関連について後方視的に検討した。
【結果】患者背景は出生体重 2820g、在胎週数 38週、男:女 26:19例であった。疾患背景として、筋性閉鎖、右室依存性冠循環を6例、10例認めた。三尖弁輪径Zスコアは-2.8(IQR -7.0- -0.44)、右室拡張末期容積は49.0%(IQR 25.8-76.7%)であった。
初期治療は日齢20(IQR 6-60)に行われた。BT短絡のみが13/45例(29%)、BDGが 1/45例(2%)あり、主に筋性閉鎖・右室依存性冠循環例であった。右室流出路形成は行っていない。肺動脈弁形成は31/45例(69%:外科的介入22例・カテーテルインターベンション9例)に行った。肺動脈弁形成に加え、BT短絡を行ったのは16/31例(48%)、動脈管ステント留置は0例であった。肺動脈弁形成のみでBT短絡を必要としなかった15例との比較では、術前の三尖弁輪径Zスコア、カテーテルによる右室拡張末期容積が有意に小さかった(p=0.02、0.006)。三尖弁輪径Zスコア-1.1、右室拡張末期容積58.3%をカットオフとすると曲線下面積0.80、0.92、95%信頼区間0.63-0.97、0.81-1であった。
【考察】純型肺動脈弁閉鎖に対する初期治療において、術前の三尖弁輪径Zスコア・右室拡張末期容積が肺動脈弁形成後のBT短絡、動脈管ステントの必要性を予測できる可能性がある。