[I-P26-01] 側開胸手術における術野留置カテーテルによる持続傍脊椎ブロックの有用性
Keywords:側開胸手術, 疼痛, 神経ブロック
【背景】側開胸手術は筋肉を離断するため、正中切開と比較して術後疼痛が強い。当院では、2016年4月より右開胸ASD手術に、術野よりカテーテルを留置し、持続傍脊椎ブロックによる疼痛管理を行ってきた。【目的】2016年4月以前のフェンタニル持続静注による疼痛管理と比較し、持続傍脊椎ブロックの有用性を検討する。【方法】第4肋間開胸でASD閉鎖を行った後、壁側胸膜下を剥離し、肋間膜との間に硬膜外麻酔用カテーテルを留置、0.2%ロピバカインを注入。カテーテル先端が適した位置に存在すれば、壁側胸膜が上下椎体方向に膨らむため、確認が可能である。体格に応じ1~6ml/hの流量で持続ブロックを行う。ブロックを行った22例中21例(B群)に対し、2005年4月以降のフェンタニル持続静注による疼痛管理を行った右開胸ASD症例111例から、年齢、体表面積(BSA)、術式の躯幹筋温存・非温存でロジスティクス回帰式をもとにマッチング可能であった21例(C群)を抽出し、疼痛スコアによる効果判定を行った。疼痛スコアは6歳未満をBehavioral Observational Pain Scale(BOPS)による0~6点の7段階、6歳以上をFace Scale(FS)の0~5点の6段階で評価し、2群間の差をpaired t-testにて検定した。【結果】以下B群 vs C群で示す。年齢は中央値 5歳7ヵ月 vs 5歳5ヵ月(p=0.99)、BSA (m2)0.63±0.25 vs 0.65±0.13(p=0.68)、躯幹筋温存・非温存は各群11例・10例で同じ。各群6歳未満は12例、6歳以上が9例であった。鎮痛期間は3日vs 2日(p=0.002)とB群で有意に長かった。BOPSは0.83±0.94 vs 4.25±1.14(p<0.0001)、FSでは1±1 vs 3.56± 0.88(p=0.0018)とB群でいずれも有意に疼痛スコアが低かった。有害事象は、B群でカテーテル感染により再開創を1例で要し、C群ではフェンタニルの副作用による嘔吐が10例に見られ、特に年長児で顕著であった。【結語】持続傍脊椎ブロックはカテーテルを術野留置する簡便で、鎮痛効果の大きい有用な方法である。