[I-P26-05] 胸骨正中切開による植え込み型除細動器移植術の4治験例
Keywords:ICD, 心外膜リード, 小児
[背景と目的]現在臨床使用可能な植込み型除細動器(ICD)は成人用のみであり、小児症例へのICD移植術は血行動態や体格に合わせ成長を見越した工夫が必要である。当施設で施行している術式は以下のとおりである。初回手術例:ショックリードは心臓後腔から心膜横洞を経由して先端を右上肺静脈上縁へ固定。ICD generatorは上腹部へ移植。再手術例:ショックリードはコイル部分をループ状に巻き横隔膜面へ固定。心房側面を通し鎖骨下のICD generatorと接続する。2013年4月以降当院で胸骨正中切開によるICD移植術を施行した4症例を報告する。[症例1]4歳男児。カテコラミン誘発性多形性心室頻拍/左室心筋緻密化障害の診断で2度の心肺蘇生の既往あり。術後6年で複数回ICD作動歴あり。【症例2】5歳女児。カテコラミン誘発性多形性心室頻拍/左室心筋緻密化障害の診断で2度の心肺蘇生の既往あり。術後5年で作動歴なし。【症例3】12歳女児。Polysplenia, uAVSD, DORV, IAAの診断で他施設にてTCPCまで完了している症例。QT延長症候群/torsades de pointsによる心肺蘇生歴と複数回の失神歴あり。併存した大動脈弓再狭窄に対してaxillo-iliac bypassを併施した。術後3年で作動歴なし。【症例4】12歳男児。Asplenia, uAVSD, vPS, TAPVCの診断で他施設にてTAPVC修復、房室弁置換術ののちにBDGまで終了している症例。低心機能のため長期に渡る内科加療を経て近日TCPC予定であったが心室細動により救急搬送され当院にて心肺蘇生を行った。明らかな後遺症なく回復しTCPCおよびICD移植術を施行。【結語】胸骨正中切開によるICD移植術は、心嚢内にショックリードを留置することでDFTdefibrillation thresholdを低く保ちながら断線や移動の頻度を低下させることが可能な有効な術式であると考えられる。しかしながらリードによる癒着性心外膜炎/拡張障害の発生や心絞扼に関する報告/注意喚起がなされており引き続き慎重な経過観察が必要である。