第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション27(I-P27)
外科治療 2

Thu. Jun 27, 2019 5:40 PM - 6:40 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:長嶋 光樹(和歌山県立医科大学 外科学第一講座)

[I-P27-02] 中枢性尿崩症を含む汎下垂体機能低下を合併した機能的単心室症例に対するFontan手術の経験

吉積 功1, 河田 政明1, 鵜垣 伸也1, 佐藤 智幸2, 松原 大輔2, 古井 貞浩2, 片岡 功一3 (1.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児・先天性心臓血管外科, 2.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科, 3.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 集中治療部)

Keywords:Fontan手術, 中枢性尿崩症, 汎下垂体機能低下

【背景】Fontan手術急性期は、中心静脈圧の上昇、浮腫、胸水、腹水を生じやすく、水分代謝異常に加えホルモンバランス不均衡により循環動態は激変する。頭蓋咽頭腫は下垂体・視床下部に発生し、手術治療で高率に中枢性尿崩症を合併する。【目的】頭蓋咽頭腫手術後に汎下垂体機能障害を合併した機能的単心室症例に対するFontan手術を経験したので報告する。症例はDORV、PAの機能的単心室形態を有する5歳、男児。1か月時modified BTS施行。2歳時に両側両方向性Glenn手術を施行。Fontan手術待機中、ふらつき主訴に精査され頭蓋咽頭腫の診断で、3歳時に腫瘍摘出術が施行された。術後汎下垂体機能不全を合併(中枢性尿崩症、甲状腺機能低下、副腎機能低下)し、デスモプレッシン(dDAVP)、ハイドロコルチゾン、レボサイロキシンが投与された。4歳時に腫瘍再発のため再手術を施行。5歳時にExtra-cardiac TCPCを施行した。術直後からdDAVP持続静注を開始、時間尿量、血漿ナトリウム値、尿比重をモニタリングし術後2日まではdDAVP持続静注投与で水分バランス調整を行った。術後3日から経口利尿薬と術前投与量のdDAVP経口薬を再開した。静注薬から経口薬移行に4日間要し、その間は持続静注量調整及び水分バランス管理に難渋した。消化吸収が改善すると共に水分バランス調整は比較的容易になった。レボサイロキシンは、術後2日目から内服再開、ステロイド投与は術当日~12日間ヒドロコルチゾン静注投与漸減し術後12日にハイドロコルチゾン経口薬へ移行した。術後10日で全てのドレーンが抜去出来、術後29日で退院した。【まとめ】尿崩症に関しては、dDAVP持続静注療法によりFontan術後急性期の水分バラン管理は比較的容易であったが消化吸収不良期には、経口薬の薬効が安定せず水分バランスに難渋した事から、静注薬から経口薬への移行開始のタイミングは特に注意すべきである。