第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスターセッション

肺循環・肺高血圧

ポスターセッション34(I-P34)
肺循環・肺高血圧 4

Thu. Jun 27, 2019 5:40 PM - 6:40 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:小垣 滋豊(大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科)

[I-P34-04] Fontan candidateにおける肺生検

河内 貞貴1, 星野 健司1, 並木 秀匡1, 鈴木 詩央1, 百木 恒太1, 菱谷 隆1, 小川 潔1, 野村 耕司2 (1.埼玉県立小児医療センター 循環器科, 2.埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

Keywords:肺生検, Fontan手術, 単心室循環

【背景】Fontan手術(F手術)の適応に苦慮する単心室循環患者を経験することは決して稀ではない。適応には様々な因子が関係するが、なかでも肺の正確な評価によりF手術に進むべきかの判断を行うことは重要である。肺に懸念があり、判断に苦慮する症例に対し当院ではGlenn手術(G手術)と同時あるいは術後に肺生検を行い、病理結果(日本肺血管研究所に病理診断を依頼)を参考にすることもある。【対象・方法】過去10年間でF手術前に肺生検を行った症例について診療録を後方視的に検討した。【結果】当院で2009年1月から2018年12月までにG手術を行った42例中、同時あるいは術後に行われた肺生検は13回(11症例)であった。2009年3回、2010年5回、2011年3回、2012年1回、2014年1回の計13回であり2015年以降は行っていなかった。施行の理由はG手術前の肺動脈圧上昇や末梢肺血管の低形成、酸素飽和度低下などであった。生検時年齢は3ヶ月ー95か月(中央値19ヶ月)、生検前の平均肺動脈圧は12mmHgー30mmHg(中央値20mmHg)、F手術に到達しえた例は他施設へ移行した2例を除いた9例中8例で、F手術後の平均肺動脈圧は10ー17mmHg(中央値11.5mmHg)であった。肺生検結果を受けて、体肺側副血管に対しコイル塞栓を行った例は10例で、肺血管拡張剤を開始した例は6例だった。【考察】肺生検結果からF手術の適応を決定していたわけではなく、F手術に向かうための治療方針の参考になっていたと考えられた。また、種々の肺血管拡張薬が使用されるようになり、当初は病理所見を参考に投与を判断することもあったが、徐々に経験も増え、複数の肺血管拡張薬を積極的に投与する方針となり、2015年以降は肺生検が減少したと思われる。しかし、肺血管病理所見から得られる情報は様々であり、今後も症例によっては病理組織診断が重要になることも十分考えられる。