第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション1(I-PD01)
災害時の重症患者対応

Thu. Jun 27, 2019 8:40 AM - 10:10 AM 第1会場 (特別会議場)

座長:小泉 沢(宮城県立こども病院 集中治療科)
座長:名和 智裕(北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科)

[I-PD01-03] 小児領域の災害の備え

伊藤 友弥 (あいち小児保健医療総合センター 救急科)

Keywords:災害時小児周産期リエゾン, 災害対策, 災害時掲示板

【はじめに】
 東日本大震災では小児・周産期医療と災害医療・行政との連携不足が指摘された。そのため、平時・災害時ともに小児・周産期医療と災害医療のコーディネートを行う災害時小児周産期リエゾン(以下、リエゾン)研修が国の事業として平成28年度から開始され、リエゾンの活動要領が平成31年に都道府県に発出された。一方で、熊本地震や大阪北部地震、中国地方の豪雨災害などでリエゾンが活動した経験の蓄積や、国の大規模地震時医療活動訓練への参加で新たな課題も指摘されてきた。
【災害時小児周産期リエゾン活動】
 熊本地震や大阪北部地震の際には県庁/府庁内でリエゾン活動が行われた。医療調整本部と連携して小児周産期医療に関する情報収集・発信、医療支援調整、保健活動を柱として活動を行った。大阪北部地震では小児搬送の調整なども行なった。小児周産期のニーズは急性期から亜急性期にかけて存在し、その窓口として機能することが重要である。
 また、政府による大規模地震時医療活動訓練では小児周産期医療と災害医療との連携に主眼を置いた訓練を行い、課題を抽出してきた。
【今後の課題】
 リエゾンの活動要領が定められたため、自治体での体制整備が進むものと思われる。リエゾンは、県庁内の保健医療調整本部と連携して活動ができるため、その利点を活かす体制が必要である。そのためには、平時からの訓練等を通した小児・周産期医療と災害医療(DMAT)、行政との連携はもとより、災害時に各小児専門領域との情報共有を円滑にできる掲示板等の体制整備が必要である。また、在宅人工呼吸器等のデバイスに依存する小児の災害対策や、院内災害対策等にも、リエゾンが持っている災害医療の知識の活用が望まれる。