第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション1(I-PD01)
災害時の重症患者対応

Thu. Jun 27, 2019 8:40 AM - 10:10 AM 第1会場 (特別会議場)

座長:小泉 沢(宮城県立こども病院 集中治療科)
座長:名和 智裕(北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科)

[I-PD01-04] ブラックアウトの経験から災害対応を考える

平石 英司 (北海道立子ども総合医療・療育センター手術集中治療部 臨床工学科・危機管理ワーキンググループ)

Keywords:佐竹, 平石, 小笠原

2018年9月6日3時7分、北海道胆振地方中東部を震源とした地震が発生し、北海道全域が停電する震災が発生した。当センターの地震直後の停電時の対応、臨床工学技士の視点から災害対応について検討していきたい。
当センターの電力は、電力会社からの電力と自家発電の電力を混合して使用する設備である。自家発電システムは北海道ガスから天然ガスの供給を受け、電力だけではなくエンジンの排熱を利用して蒸気や温水などの熱エネルギーを得ることのできる「コジェネレーションシステム」を採用している。このシステムは災害時だけではなく平時より稼働している。
発災直後、電力会社からの電力供給が停止し、コジェネレーションシステムによる自家発電のみの状況となった。しかし非常電源への切り替えが機能せず、無停電電源以外の電力は消失した。そのため圧縮空気コンプレッサーが停止し、人工呼吸器、酸素ブレンダーの空気圧低下アラームが一斉に作動した。当時、センター内では11台の人工呼吸器が稼働していたが、その他に電力を必要とする生命維持装置の使用はなかった。人工呼吸器装着中のNICUの患者1名を搬送した。また、北海道全域が停電したため、在宅人工呼吸器を使用している患者13名が呼吸器の充電のために来院した。
今後の課題として、①非常電源となった際の医療ガス供給の周知②非常電源用コンセントの使い分け③平時より輸液ポンプ等バッテリーを充電しておくこと、といった基本的な災害時の知識の周知があげられた。また、臨床工学技士の視点から震災時は酸素貯蓄の温存のため呼吸器や酸素ブレンダーなどはバイアスフローの少ない呼吸器へ、消費電力が多くて代替のものがあるものは変更を提案し、震災で損害の受けた医療機器の使用の可否を決める医療機器トリアージを構想している。