[I-S03-05] ヒドロキシクロロキンによる抗SS-A抗体関連房室ブロックの再発予防: オンライン診療を用いた臨床試験
Keywords:ヒドロキシクロロキン, 抗SS-A抗体, 新生児ループス
【目的】抗SS-A抗体陽性の妊娠の約1-2%で児に完全房室ブロックを合併し、合併児の20%は死亡し、80%で永久ペースメーカーが必要となる。前児で心病変(cNL)を合併した場合、次の妊娠での再発率は10倍(15-18%)となる。ヒドロキシクロロキン(HCQ)は、妊娠中を含む全ての全身性エリテマトーデス患者で使用が推奨されている。cNLの予防薬はなかったが、HCQがcNLの再発リスクを約1/3に軽減することが海外のレジストリ研究と臨床試験(PATCH)によって示された(NCT01379573)[1]。【方法】本試験はオープンラベル単群の医師主導臨床試験(J-PATCH)(UMIN 000028979)である。対象は、抗SS-A抗体陽性で、前児でcNLを合併した妊娠10週までの母親である。目標症例数は20例に設定し、対象患者の組み入れは全国的に行う。妊娠期間中HCQ400mg /日を投与する。胎児のモニタリングは18週以降26週までは少なくとも2週間毎に実施する。主要評価項目は房室ブロック(II or III度)の合併率である。観察期間は生後1年までとする。なお2回目以降の受診はオンライン診療を可能とした。【結果】2017/9に開始後現在(2018/12)までの組み入れは4名(九州1、関西2、関東1)、妊娠待ちが5名(九州2、関東1、東海1、東北1)である。J-PATCH以外でのHCQの使用は2名(J-PATCH開始前1名、妊娠10週超1名)であった。現時点で完全房室ブロック(II or III度)の出現は認めていない。【考察】妊娠中かつ稀少疾患の臨床試験は極めて難しいが、オンライン診療の活用により全国の患者を対象とすることが可能であった。(研究費:平成28年~32年度文科省科研費)【文献】[1] Izmirly, P. M., et al. Maternal use of hydroxychloroquine is associated with a reduced risk of recurrent anti-SSA/Ro-antibody-associated cardiac manifestations of neonatal lupus. Circulation 2012:126;76-82.