[II-JCCJS-01] Fontan 術後の発作性上室頻拍に対するアブレーション
キーワード:Fontan, アブレーション, Extracardiac conduit
Fontan 術後患者を follow up する場合、心不全、静脈圧の上昇、不整脈などに対する注意が必要である。特に、上室性不整脈は頻繁に出現することが知られている。薬物療法のみでコントロールするのは非常に困難で、アブレーションが有効な場合も多く経験される。Fontan の術式により、アブレーションの方法は大きく左右される。APC Fontan, lateral tunnel などは、カテーテルのアクセスが容易であるが、自己の心房筋が静脈 chamber として大きく残存しており、広範に異常電位が認められることが多い。またそれに伴い、複数の上室頻拍が出現し、すべての頻拍を治療するのに、非常に難渋する。また、近年主流になっている、extracardiac conduit を用いる Fontan 術の場合、体心室心房に到達するためには、いくつかの工夫が必要である。経大動脈的に逆行性にカテーテルを持っていくことも可能であるが、心房内でカテーテルを操作するのは非常に困難を伴う。他に、extracardiac conduit を穿刺する方法がある。通常の心房中隔と比較すると、穿刺は困難であるが、PCI用バルーンで拡張したり、スネアを使用したり、様々な方法が試みられている。当院で施行した Fontan 術後患者の急性期成功率、再発率に関して検討を行った。9人のFontan 術後患者の中で、extracardiac conduit が6例であり、同部位の穿刺が4例、肺動脈から左房への穿刺が1例であった。急性期成功率は8人であったが、5人に再発が認められ、2nd session や薬物などを追加し、再発は2例にまで抑制できている。Fontan術後患者に対するアブレーションの問題点として、全例で3D mapping を用いているが、動かない多極電極の留置に難渋することがあげられる。また、比較的再発率も高く、器質に対するアブレーションをどこまで追加するかも今後の課題と考えられる。