第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

JCC-JSPCCS Joint Symposium

JCC-JSPCCS Joint Symposium(II-JCCJS)
先天性心疾患に合併する上室頻拍:術前から術後遠隔期まで

2019年6月28日(金) 09:30 〜 11:00 第6会場 (小ホール)

座長:住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
座長:籏 義仁(昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)

[II-JCCJS-01] Fontan 術後の発作性上室頻拍に対するアブレーション

西井 伸洋1, 栄徳 隆裕2, 重光 祐輔2, 馬場 健児2, 大月 審一2, 森田 宏1, 伊藤 浩3 (1.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 先端循環器治療学講座, 2.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児循環器科, 3.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科)

キーワード:Fontan, アブレーション, Extracardiac conduit

Fontan 術後患者を follow up する場合、心不全、静脈圧の上昇、不整脈などに対する注意が必要である。特に、上室性不整脈は頻繁に出現することが知られている。薬物療法のみでコントロールするのは非常に困難で、アブレーションが有効な場合も多く経験される。Fontan の術式により、アブレーションの方法は大きく左右される。APC Fontan, lateral tunnel などは、カテーテルのアクセスが容易であるが、自己の心房筋が静脈 chamber として大きく残存しており、広範に異常電位が認められることが多い。またそれに伴い、複数の上室頻拍が出現し、すべての頻拍を治療するのに、非常に難渋する。また、近年主流になっている、extracardiac conduit を用いる Fontan 術の場合、体心室心房に到達するためには、いくつかの工夫が必要である。経大動脈的に逆行性にカテーテルを持っていくことも可能であるが、心房内でカテーテルを操作するのは非常に困難を伴う。他に、extracardiac conduit を穿刺する方法がある。通常の心房中隔と比較すると、穿刺は困難であるが、PCI用バルーンで拡張したり、スネアを使用したり、様々な方法が試みられている。当院で施行した Fontan 術後患者の急性期成功率、再発率に関して検討を行った。9人のFontan 術後患者の中で、extracardiac conduit が6例であり、同部位の穿刺が4例、肺動脈から左房への穿刺が1例であった。急性期成功率は8人であったが、5人に再発が認められ、2nd session や薬物などを追加し、再発は2例にまで抑制できている。Fontan術後患者に対するアブレーションの問題点として、全例で3D mapping を用いているが、動かない多極電極の留置に難渋することがあげられる。また、比較的再発率も高く、器質に対するアブレーションをどこまで追加するかも今後の課題と考えられる。