[II-JCCJS-03] 単心室例の出生時からFontan術までの上室頻拍
Keywords:上室頻拍, 単心室, フォンタン手術
【目的・対象】福岡市立こども病院を受診したFontan candidate患者554例(1990年1月1日以降出生)を対象に2007年9月21日までの上質頻拍SVT発生について後方視的に行った調査結果と高周波カテーテルアブレーションをFontan前に施行した症例を中心に報告する。左心低形成110人、内蔵心房錯位145人、三尖弁閉鎖52人、肺動脈閉鎖兼心室中隔41人、僧帽弁閉鎖17人、その他複雑心奇形189人である。手術歴では、未手術例28(生存4例)、姑息術のみ130(生存22例)、両方向性グレン手術まで81(生存53例)、TCPC手術済み308(生存296例)であった。TCPC手術時平均年齢9.8歳(2.3-17.7歳)TCPC後平均月数71ヶ月であった。上室性頻脈性不整脈の発症の有無、発症時期について後方視的に検討を行った。上室性頻脈性不整脈は持続、または血行動態に影響し治療を要したものと定義した。【結果】SVTは554例中109例(19.7%)に生じ、109例中46例(42.2%)に2回以上SVTを認めた。複数回出現した46例の初回発作時期は未手術期15例、姑息手術以降12例、両方向性グレン手術以降11例、TCPC術以降8例であった。それぞれの2回目以降の出現は、未手術期、姑息術期(術中、週術期、遠隔期)、両方向性グレン術期(術中、週術期、遠隔期)、TCPC術期(術中、週術期、遠隔期)と様々であった。特に16例/109例(14.7%)は2回目以降の発症がTCPC術遠隔期であった。TCPC術後の遠隔期SVTの頻度は16例/308例(5.2%)であった。【考察】上室性頻脈性不整脈の既往のある単心室循環患者は、不整脈基質をすでに獲得していると考えられ、遠隔期において発生に注意し特に慎重な観察が必要である。今後小児単心室患者の不整脈の発症時からの、より多くの電気生理学的情報を蓄積することが重要である。