第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

学校保健

一般口演19(II-OR19)
学校保健

2019年6月28日(金) 16:50 〜 17:50 第4会場 (中ホールA)

座長:泉田 直己(曙町クリニック)
座長:畑崎 喜芳(富山県立中央病院 小児科)

[II-OR19-05] 学校管理下の心臓突然死をどのように予防できるか

長嶋 正實1, 太田 邦雄2 (1.愛知県済生会リハビリテーション病院, 2.金沢大学医学部 小児科)

キーワード:心臓突然死, AED, 心肺蘇生

(目的)学校管理下心臓突然死は減少傾向にあるがその要因の一つは心肺蘇生・AEDの普及と考えられる。心肺蘇生・AEDの学校における現状を把握し、心臓突然死をさらに減少させること。(方法)平成29年度に日本学校保健会「学校における心肺蘇生(AED)支援委員会」で全公立小、中、高等学校、特別支援学校(33,997校)を対象に心肺蘇生・AEDに関する詳細なアンケート調査を行った。(結果)回答率77%(26,131校)。ほぼすべての学校にAEDが設置され、複数台設置されている学校は全体では23%。小中学校では1台設置校が83%、高等学校では67%が複数台設置されていた。全体の69%は複数台が必要であると答え、不足と感じている学校が多い。最近5年間に除細動のためショックボタンを押された症例は147名で小学生32名、中学生54名、高校生61名。運動関連の事案が多く小学生では水泳、体育の時間、中学生、高校生では体育的部活動、体育の時間、持久走・マラソンなどが多かった。147名のうち後遺症なく回復した症例は小学生23名、中学生36名、高校生40名、全体で67%、死亡は5名、7名、7名、死亡率13%。心臓病を指摘されていたものは各々12名、16名、23名と全体の35%、運動制限を受けていたものは9名、16名、15名と全体の27%。AEDの設置場所から校内の一番遠いところまでの往復時間が5分以上かかると答えた学校は30%。小学校高学年にも実技を伴う心肺蘇生・AED教育を導入すべきとの回答は84%。(考案)学校管理下心臓突然死を予防するためには心肺蘇生・AEDによる救命率がかなり高いことから、関係者の意識を高め、更なる心肺蘇生・AEDの普及を図ること、心臓病を指摘されているものが少ないことから心臓検診のさらなる質の向上、また突然死の原因究明が重要であることが示唆された。