[II-OR20-03] 小児期発症洞不全症候群におけるSCN5A遺伝子の臨床像:陽性群と陰性群との比較
キーワード:遺伝子異常, 洞不全症候群, ナトリウムチャネル
【背景】小児期に発症する洞不全症候群 (SSS)は稀であるが、Naチャネル遺伝子異常(SCN5A)が原因の一つとして報告されている。小児期発症SSS中のSCN5A遺伝子変異の頻度や、変異を有する群(陽性群)と有さない群(陰性群)の臨床的特徴について比較した報告は少ない。【方法】小児期に発症したSSS 22家系22例にSCN5A遺伝子の全エクソンの遺伝子変異を検索し、SCN5A陽性群と陰性群の臨床的特徴を検討した。【結果】対象のSSS発症時期中央値は4歳(0-12)。SSS発症後の観察期間中央値は7年。心房性頻脈性不整脈(AT/AF)合併が6例含まれ、遺伝子検査時年齢中央値は11歳(0-35)であった。2例は検査時既にペースメーカ(PM)植込みがなされていた。11/ 22例 (50%)にSCN5A変異を認めた為、対象を陽性群11例と陰性群11例の2郡に分類し比較した。陽性群ではPM植込み例(陽性群9、陰性群2例)、AT/AF(陽性群7例、陰性群3例)、進行性心房静止合併(陽性群4例,陰性群1例)、脳血管イベント(陽性群2例、陰性群0例)が多い傾向があった。心室性頻拍症は陽性群2例、陰性1例に認めている。経過観察中の死亡を、突然死1例(陽性群)、非心臓関連死1例(陰性群)に認めた。不整脈家族歴は陽性群で2家系(Brugada症候群1例とSSS+AF1例含む)に認めているが陰性群には認めていない。陽性群の心房静止を合併した重症例4例(1例は突然死)中2例はナンセンス変異、1例は複合変異であった。【結論】小児期発症SSSにおけるSCN5A遺伝子陽性群は、陰性群に比しペースメーカ植込み例や進行性心房静止合併例が多く臨床症状が重い傾向がある。