第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

電気生理学・不整脈

一般口演20(II-OR20)
電気生理学・不整脈 1

Fri. Jun 28, 2019 8:30 AM - 9:20 AM 第5会場 (中ホールB)

座長:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院こどもセンター)
座長:鈴木 博(新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター・魚沼基幹病院 小児科)

[II-OR20-05] QT延長症候群8型で観察されるT波交代現象はメキシレチンで抑制される

小澤 淳一1, 大野 聖子2, 伊藤 裕貴1, 塚田 正範1, 沼野 藤人1, 星名 哲1, 鈴木 博3, 堀江 稔4, 齋藤 昭彦1 (1.新潟大学 小児科, 2.国立循環器病研究センター 分子生物学部, 3.魚沼基幹病院 小児科, 4.滋賀医科大学 循環器内科)

Keywords:QT延長症候群8型, T波交代現象, メキシレチン

【背景】QT延長症候群 (LQTS) 8型 (LQT8) は、L型CaチャネルをコードするCACNA1C遺伝子の異常が原因となるが、治療法は未だ確立されていない。T波交代現象 (TWA) はLQTSにおいてtorsades de pointes (TdP) の直前に観察されることが多いが、LQT8における意義は十分明らかでない。【症例1】 在胎38週6日、前医にて出生。出生後に徐脈を指摘、心電図でQT延長 (QT 680ms, QTc 694ms)、2:1房室ブロックと診断。日齢1にTWAに引き続くTdPを繰り返したため当院に転院。メキシレチン持続静注開始後は、TdPの再発はなかった。日齢2に2:1房室ブロック改善後、持続的にTWAを認めたが、日齢7に減少した。メキシレチン内服変更に伴い、血中濃度が低下し持続的なTWAが再燃したが、同薬剤の増量により減少した。遺伝子検査でCACNA1C p.G402S (ex.8) を同定、de novo変異であった。その後プロプラノロール、ベラパミルを追加。現在1歳5カ月で、心イベントなく経過している。【症例2】母、姉、兄がLQT8と診断されているが、これまで心イベントはない。胎児期の異常はなし。在胎37週5日、予定帝王切開で出生。出生後の心電図で持続的なTWAを認めた。TdPはなかった。メキシレチン静注により速やかにTWAは消失した。心電図で著明なQT延長 (QT 440ms, QTc 599ms) を認めた。遺伝子検査で家族と同じCACNA1C p.M1476Rを同定した。その後メキシレチン内服を継続。現在5カ月で、TWAをわずかに認めるが、心イベントはない。また後方視的検討で、姉の日齢3の心電図でもTWAを認めた。【結論】LQT8ではTWAが多く観察される可能性があり、やはりTdP発生に注意が必要である。メキシレチンはTWAを抑制し、心イベント発生の抑制に有効であると考えられた。