[II-OR21-04] 心筋再分極特性比を用いた川崎病の重症度評価
キーワード:川崎病, 心筋再分極特性, 冠動脈病変
【背景】小林スコアを用いる事で川崎病の治療効果は改善されているが、冠動脈病変(CAA)の合併を僅かに認める。我々は心筋再分極特性比 (Tpeak to Tend時間/QT:Tp-e/QT)に注目して検討を重ね、Tp-e/QTは炎症により変調される事を示してきた。【目的】加療前のTp-e/QTが重症度評価に有用かは不明である。そこでスコア項目、治療抵抗性との関係を検討する。【方法】治療前に心電図記録の行なえた患児102人を対象とした。単独IVIG群は反応群(R群; n = 74, CAA合併n=0)と抵抗群(N群; n = 12、CAA合併n=11)、IVIG+プレドニソロン(PSL)群は(R群; n=12, CAA合併n=1. N群; n=4, CAA合併n=3)に分類。Tp-e/QT(V5)は接線法にて算出し、小林スコア項目と治療抵抗性との関連を検討した。CAAはZ score 2.0以上とした。【結果】1)全症例において、Tp-e/QTは小林スコアとR2=0.088, p=0.0027、ASTとR2=0.068, p=0.008、CRPとR2=0.083, p=0.003 の正相関を有した。2)単独IVIG群にてTp-e/QTはN群で高値(R群 対N群:0.253±0.045 対0.285±0.036, p<0.0001)。3)IVIG+PSL群でもN群で高値(R群 対N群:0.269±0.047対0.312±0.037, p=0.035)。3)CAA合併の有無でも有意差(有 対 無:0.290±0.037 対0.255±0.045, p=0.003)を示した。【考察】 Tp-e/QTは川崎病の重症度と相関し、治療抵抗性やCAA合併の予測因子として管理治療に応用できる可能性が示唆された。【結論】 心筋再分極特性比Tp-e/QTは川崎病の重症度評価に有用である。