[II-OR22-04] 川崎病後冠動脈障害の血行動態評価:心臓カテーテル検査におけるFFRと13N-アンモニアPETによるCFRの比較検討
Keywords:川崎病後冠動脈障害, FFR, CFR
【背景】川崎病後冠動脈障害(CAL)では造影検査による形態的診断のみならず、冠血流予備能比(FFR)による冠血行動態評価が重要である。一方2012年4月から13N-アンモニアPET検査が保険適用となり、細部における定量的冠動脈血流予備能(CFR)の評価が可能となった。【目的】FFRとCFRはどちらも心筋虚血の有無を判断する指標であるが、今回CALにおけるFFRとCFRの関係を検討し、形態的評価も含めてその指標の意味を考察した。【対象】CALに対して、心臓カテーテル検査および13N-アンモニアPETを施行した17枝を対象とした。17枝の内訳はRCAが6枝、LADが8枝、LCXが3枝であった。【方法】心臓カテーテル検査施行時にCALの遠位部でFFRを測定し、13N-アンモニアPETにて同一枝の支配領域でのCFRとの比較検討を行った。FFR 0.8以上、CFR 2.0以上が正常とされている。【結果】FFRとCFRの相関係数は0.18であったが、ほとんどの症例で正常と異常の整合性を認めた。FFRとCFRの結果が明らかに一致しないものは5枝あり、FFRが正常であるがCFRが異常であるものが4枝、FFRが異常でCFRが正常であるものが1枝であった。 【考察】FFRは血流障害全体に対する血管性の局所病変の寄与の割合を示す指標である一方、CFRは局所の血管性病変のみでなく、微小循環障害の存在によっても低下するため微小循環も加味した指標である。今回CFRのみ異常値を呈した4枝はいずれも狭窄性病変を認めず、そのうち3枝は末梢循環障害の存在、もう1枝は安静時の血流が多いためCFRが低値になったと思われた。一方、FFRのみ異常値を呈した枝は末梢循環障害を認めないが、狭窄性病変が存在するためFFRが低値になっていると思われた。