[II-OR24-03] Fontan手術に到達したclassic HLHSの術後右室機能に関する検討
Keywords:HLHS, Fontan, RV-PAシャント
【目的】Fontan手術に到達したclassic HLHSの術後中期・遠隔期の右室機能を後方視的に検討する。【方法】1995年から2018年3月までにFontan手術に到達したclassic HLHSのうち、Norwood手術時にRV-PAシャント法(RP群:RV側は右室切開部に6-0 monofilament糸連続縫合にて吻合)を行なった25例、BTシャント法(BT群)を行なった28例を対象とし、心臓カテーテル・エコー・MRIにより右室機能を検討した。【結果】術後観察期間中央値10.2年、遠隔期死亡なし。Fontan術後心臓カテーテル検査(中央値7.7年:n=49)では、CVP:11.3±2.2 mmHg、SaO2:93.6±1.9%、CI:3.1±1.0 L/min/m2、RVEDP:5.6±3.2 mmHg、TR1.0±0.6であり、良好なFontan循環が維持されたが、RVEF(RP/BT):52.5±9.1/57.6±7.7%(p=0.048)および心室収縮期末期最大弾性率Ees(RP/BT):2.2±1.1/3.0±1.2 mmHg/ml/m2(p=0.02)に両群間の有意差を認めた。さらにエコー検査(中央値9.2年:n=52)ではRVEF(RP/BT):62.2±9.2/69.1±7.9%(p=0.006)、MRI検査(中央値9.0年:n=31)ではRVEF(RP/BT):48.1±7.7/55.7±7.5%(p=0.012)であり、いずれの評価方法でもRP群で右室収縮力の低下を認めた。一方、MRI検査を施行したRP群(n=20)のうち、BDGもしくはFontan手術時のRV-PAシャント take downをdivisionのみとした18症例では16例に右室前璧のpseudoaneurysm形成を認めたのに対し、右室壁断端の縫合閉鎖を追加した2症例では認めず(p=0.03)、良好な右室収縮能が維持されていた(RVEF:52、60%)。【考察】Noorwood手術時にRV-PAシャント法を行った症例はBTシャント法に対してFontan術後の右室収縮力が低下しており、シャント吻合部の局所的な壁運動低下の関与が示唆された。RV-PAシャント take donwの際の右室壁断端縫合閉鎖はpseudoaneurysm形成を抑制する効果が期待され、Dunk法などの右室小切開による術式に対しても検討が必要である。