[II-OR26-05] Nav1.5新生児型バリアントとgain-of-function型の遺伝子変異による胎児・新生児期不整脈の憎悪についての電気生理学的検討
キーワード:不整脈, Naチャネル, 遺伝子変異
【背景】 LQT3/ブルガダ症候群などの原因遺伝子の一つであるNaチャネル(Nav1.5, SCN5A)には、胎児・新生児期に高発現する新生児型バリアントがある。これはSCN5A exon 6が6aに置き換わるスプライシングバリアントである。この新生児型バリアントにgain-of-function型の遺伝子変異が加わると、成人型より重篤なLQTを生じるとの報告が近年続いた。我々はLQTを伴う女児の孤発例のSCN5A R1623Q (g4868a)変異について報告(1997)したが、この変異を有する場合、胎児・新生児期に重篤な不整脈を生じ、流産や新生児の突然死に関与する可能性が報告されている。【目的】 Nav1.5 R1623Q変異をもつ胎児・新生児重症不整脈の疾患の原因が、新生児型バリアントによる増悪に関係するという仮説を検証する。【方法】 野生型SCN5Aを挿入した哺乳類細胞発現コンストラクトを構築し、さらにexon 6a型のバリアントを作り、QuickChangeXLキットを用いてそれぞれにg4868a変異を導入した。抗生剤耐性を用いNav1.5チャネルを安定発現する293T細胞ラインを複数調製した。これらのNav1.5発現細胞を用いて、オートパッチクランプ法(Syncropatch 384 PE, Nanion Technologies)により電気生理学的に検討した。【結果・考察】 R1623Q変異によりNa電流の不活性化に遅延が生じ、新生児型バリアントではさらにlate Na電流が増加した。これらの結果より、新生児型Nav1.5チャネルにおけるR1623Q変異が、QT時間の延長を引き起こし、より増悪な胎児・新生児期の不整脈の要因となる可能性がある。