[II-P41-02] 大動脈弁形成「尾崎法」施行後の大動脈弁形態変化について―思春期例における検討―
キーワード:尾崎法, 大動脈弁狭窄症, 大動脈弁形態
【背景】自己心膜を使用した大動脈弁形成術である「尾崎法」の成績についての報告は成人例が中心であり小児期の報告はまだ少ない。すべてを自己心膜で置換した弁が発達、成長過程でどのような変化が生じるのか不明である。【目的】当院で尾崎法を施行した思春期症例の術後心機能および大動脈弁形態の変化を評価すること。【対象と方法】当院で尾崎法を施行し、3年以上経過観察した先天性大動脈弁狭窄症3例(男:2例、女:1例)。手術時年齢は、12、17、17歳で、観察期間は術後3-4年であった。評価項目は、2D心エコーで測定した大動脈弁輪径、coaptation height(CH)、geometric height(GH)、effective height(EH)、長軸での開口径, LVEDVI, LVESVI、LVEFとした。【結果】術前の大動脈弁流速は4.6-5.4m/sで、術後全例改善し、術後1年で1.6-2.3m/s、術後3年で1.6-3.1m/sとなった。術後のLVEDVI 47-66ml/m2、LVESVI 20-28ml/m2と正常サイズとなり、LVEF 56-58%と良好であった。17歳で尾崎法を施行した2例は、大動脈弁輪径が術後の17-18mmから術後3年でも変化なく、かつCH約8,14mm、GH約16,20mm、EH約12.5,16mmと3年で変化なかった。一方12歳の例では、4年の経過で弁輪は20.2mmから21.4mm と経時的に若干拡大したが、CHは9.3-9.7mm、GHは19-20mm、EHは14.3-14.7mmの間で推移し、ほぼ変化なかった。【考察】思春期に尾崎法を施行しても、数年以上の経過では大動脈弁形態が保持され、小児においても有効な術式である可能性が示唆される。