[II-P41-05] Long gap食道閉鎖症と先天性心疾患合併症例の検討
Keywords:食道閉鎖症, long gap, 先天性心疾患
【背景】Long-gap食道閉鎖症(EA)に対しては、新生児期から乳児期にかけて食道延長術、その後の食道再建術と、段階的な手術介入を要する。先天性心疾患(CHD)、特に複雑心奇形合併例では、心血管異常への手術介入も同時期に要するため、非long-gap症例と比較して治療に難渋する可能性が高いと考えられる。【対象・方法】CHD合併EA症例をlong-gap群(L群)と非long-gap群(N群)に分け、基礎疾患、CHD修復術到達率、食道再建術到達率、生命予後等に関して診療録から後方視的に比較検討を行った。【結果】L群/N群:3例/7例。基礎疾患:CHARGE 1例/VATER 3例、Holt-Oram 1例、CHARGE 1例。食道閉鎖Gross分類:C 2例、D 1例/C 7例。CHD:cAVSD+TOF 1例、cAVSD+PA 1例、vAS+ASD 1例/DORV 3例、PDA 2例、TOF 1例、TAPVC 1例。食道再建術到達:1例(33%)/7例(100%)。経口摂取可能:1例(33%)/5例(71%)。CHD姑息手術必要:2例(66%)/1例(14%)。心内修復術もしくはFontan手術到達:1例(33%)/7例(100%)。死亡1例(33%)/0例(0%)。【考察】L群で新生児期から乳児期早期にCHDに対する姑息手術が必要であった2例では、CHDとEA両者の治療を同時期に並行する必要があったが、いずれの治療も難渋し次の段階に進めなかった。各症例で感染、基礎疾患や誤嚥に伴う呼吸状態の不安定さが治療困難さに拍車をかけた。L群で順調な経過を得たのは、CHD姑息術を要さず食道再建術を施行し、学童期にCHD一期的修復術を施行した1例のみであった。N群では比較的良好な治療効果、予後が得られた。【結論】姑息術を要する複雑新奇形を合併したlong-gap EA症例は、EA、CHDの両者の治療並行に難渋し予後不良である。患児の基礎疾患も踏まえ、EA、CHDそれぞれの治療目標を個々に設定し、治療戦略を立てる必要がある。