[II-P43-03] 植え込み型心電ループレコーダーにて心室細動を検出し得た小児肥大型心筋症
Keywords:肥大型心筋症, 心室細動, 植え込み型心電ループレコーダー
【はじめに】肥大型心筋症(以下HCM)は心室性不整脈を合併し突然死などの心事故を引き起こすことが問題となり、小児においても学校管理下突然死の主要な原因の一つとなっている。今回、繰り返す失神に対し植え込み型心電ループレコーダー(以下ILR)にて心室細動が検出され、完全皮下植え込み型除細動器(以下S-ICD)の植え込みを行った小児HCM症例を経験したので報告する。【症例】12歳男児、小学校1年生の学校心臓検診で異常Q波やST-T変化を指摘され心エコーにてHCMと診断、β遮断薬の内服を開始した。6歳、9歳、11歳時に失神を認め運動負荷心エコー・ドブタミン負荷心臓カテーテル検査・Head up tilt試験・ホルター心電図などを実施したが、明らかな左室流出路狭窄や不整脈は確認されなかった。11歳6か月時にILRを留置し、12歳6か月時に4回目の失神を認め当院へ救急搬送された際のILR解析にて心室細動(以下Vf)が検出され、S-ICDの植え込みを行った。【考察】本症例はILRにてVfを検出し得た小児HCMの初めての症例と思われる。HCMにおける原因不明の失神(unexpected syncope)では、致死性不整脈や左室流出路狭窄などを鑑別に挙げ精査を行うものの明らかな原因が検出されない場合があるが、本症例ではILRが非常に有効であった。