[II-P43-05] 左脚ブロックからDyssynchrony-induced cardiomyopathyを生じた小児の2例
キーワード:伝導障害, 心筋症, LBBB
[背景]成人領域では左脚ブロック(LBBB)により非虚血性のdyssynchrony-induced cardiomyopathyを生じることが知られているが, 小児では稀である. 乳児期にLBBBから左室のdyssynchronyと心機能低下を生じた2例を報告する.[症例1] 日齢1の男児. 在胎37週, 2776gで出生. 日齢1に心拡大(心胸郭比59%)と不整脈から当院へ紹介受診した. ウェンケバッハ型房室ブロックおよびLBBBをみとめ,中等度三尖弁逆流, CK上昇(309 IU/L)から新生児一過性心筋虚血が疑われた.その後房室ブロックは改善したがLBBBは残存した. LVEFは徐々に低下(42%)し, 心室中隔の奇異性運動が持続した. 2歳時に心筋生検を行ったが, 細胞浸潤や心筋の錯綜配列はなかった. [症例2] 3か月女児. 感冒症状のため受診した際に, 心音減弱と心拡大(心胸郭比 59%)から心筋炎, 心筋症が疑われ当院へ転院した. LBBBおよび中隔壁の奇異性運動, LVEFの低下(43%), BNPの上昇(451pg/ml)がみられた. その後もLBBBおよび中隔壁の奇異性運動は残存したが, 心不全治療によりLVEFは65%以上に改善した.[結論] 乳児期に発症した左脚ブロックによるDyssynchrony-induced cardiomyopathyは, cardiovascular diseaseなどの2次的な伝導系障害からLBBBを生じる成人と異なり, 先天的な伝導系の異常が存在する可能性がある. また遠隔期には心機能が維持される例も存在し詳細が不明であり注意深い観察が必要である.