[II-P44-03] 慢性心不全を呈したGaucher病2型の1例
キーワード:Gaucher病, 心筋症, 心不全
【諸言】Gaucher病はグルコセレブロシダーゼの活性低下・欠損により発症する先天代謝異常症である。稀にGaucher細胞は心臓に浸潤するが、心筋障害から心不全に至った報告は散見される程度である。今回、慢性心不全に対し治療介入したGaucher病2型の症例を経験したので報告する。
【症例】現在5歳の男児。1歳時に頭部打撲で当科初診し入院、肝脾腫、成長障害、運動発達遅滞、貧血・血小板減少、喘鳴を認めGaucher病が疑われた。1歳2ヶ月時にグルコセレブロシダーゼの活性低下によりGaucher病2型と診断、酵素補充療法を開始。1歳4ヶ月時よりシャペロン療法が併用された。
心不全の治療:1歳2ヶ月時、喘鳴は継続し、BP=111/59, LVDd=122%, LVEF=0.64, ACE=96.6, BNP=38.1, HANP=129, AD=158, NAD=457, DOA=38, AST=70であった。心拡大は潜在的左心機能低下と判断。高血圧の機序は、Gaucher病によるACE高値および・または左心機能低下に対する内因性カテコラミン上昇によると推測した。高血圧は後負荷不適合の要因となり左心機能低下を助長するため、増悪すれば慢性心不全として治療介入する方針とした。1歳3ヶ月時、LVDd=124%, LVEF=0.64であり、ARB(カンデサルタン)を開始した。血圧は正常上限まで低下したが、心拡大が持続するため1歳7ヶ月時、β遮断薬(ロプレソール)を追加し、所見が改善した。その後、心拡大が再増悪、MRが出現し、3歳3ヶ月時より利尿薬(フロセミド、スピロノラクトン)を開始した。4歳5ヶ月時から心拡大は改善した。現在、高血圧・心機能は改善しており、上記治療を継続している。
【考察・結語】Gaucher病2型はほとんどが幼児期に死に至る予後不良の疾患である。患児は酵素補充療法とシャペロン療法の併用が有効であったと考えるが、早期に慢性心不全と高血圧に対する治療介入を行ったことも予後改善に寄与したと考える。Gaucher病の管理において、心合併症に留意する必要がある。
【症例】現在5歳の男児。1歳時に頭部打撲で当科初診し入院、肝脾腫、成長障害、運動発達遅滞、貧血・血小板減少、喘鳴を認めGaucher病が疑われた。1歳2ヶ月時にグルコセレブロシダーゼの活性低下によりGaucher病2型と診断、酵素補充療法を開始。1歳4ヶ月時よりシャペロン療法が併用された。
心不全の治療:1歳2ヶ月時、喘鳴は継続し、BP=111/59, LVDd=122%, LVEF=0.64, ACE=96.6, BNP=38.1, HANP=129, AD=158, NAD=457, DOA=38, AST=70であった。心拡大は潜在的左心機能低下と判断。高血圧の機序は、Gaucher病によるACE高値および・または左心機能低下に対する内因性カテコラミン上昇によると推測した。高血圧は後負荷不適合の要因となり左心機能低下を助長するため、増悪すれば慢性心不全として治療介入する方針とした。1歳3ヶ月時、LVDd=124%, LVEF=0.64であり、ARB(カンデサルタン)を開始した。血圧は正常上限まで低下したが、心拡大が持続するため1歳7ヶ月時、β遮断薬(ロプレソール)を追加し、所見が改善した。その後、心拡大が再増悪、MRが出現し、3歳3ヶ月時より利尿薬(フロセミド、スピロノラクトン)を開始した。4歳5ヶ月時から心拡大は改善した。現在、高血圧・心機能は改善しており、上記治療を継続している。
【考察・結語】Gaucher病2型はほとんどが幼児期に死に至る予後不良の疾患である。患児は酵素補充療法とシャペロン療法の併用が有効であったと考えるが、早期に慢性心不全と高血圧に対する治療介入を行ったことも予後改善に寄与したと考える。Gaucher病の管理において、心合併症に留意する必要がある。