第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

外科治療遠隔成績

ポスターセッション46(II-P46)
外科治療遠隔成績 1

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:盤井 成光(大阪母子医療センター 心臓血管外科)

[II-P46-01] 右肺動脈上行大動脈起始症の遠隔成績

中田 悠介1, 落合 由恵1, 安東 勇介1, 久原 学1, 馬場 啓徳1, 浮池 宜史1, 徳永 滋彦1, 渡邉 まみ江2, 宗内 淳2, 塩瀬 明3 (1.九州病院 心臓血管外科, 2.九州病院 小児科, 3.九州大学医学部附属病院 循環器外科)

Keywords:右肺動脈上行大動脈起始症, 術後遠隔期, 右肺動脈狭窄

【背景】右肺動脈上行大動脈起始症(anomalous origin of right pulmonary artery from the ascending aorta: AORPA)は右肺動脈が上行大動脈から起始し、生直後から肺高血圧症、心不全を来す稀な先天性心疾患で、早期に外科的治療を必要とする。【目的】AORPAに対する外科的治療成績を検討した。【方法】1986年から2019年1月までの全10例。手術時の年齢は7日-180日(中央値11日)体重2.6-4.6 kg(中央値3.1 kg)。distal type1例、proximal type9例、全症例で高度肺高血圧症を認めた。動脈管は1例を除き全症例で開存し、合併疾患は大動脈縮窄症2例、右鎖骨下動脈起始異常1例、心房中隔欠損症2例であった。右肺動脈再建は右肺動脈-主肺動脈直接吻合が8例、人工血管間置が1例、自己心膜パッチ形成が1例であった。人工血管を用いた1例ではDICのため人工心肺を用いずに手術を施行した。同時手術は大動脈縮窄修復2例、心房中隔欠損閉鎖術を2例に施行した。【結果】経過観察期間は2週-24年(中央値13年)。手術死亡、遠隔期死亡ともになし。4例で一酸化窒素吸入を周術期に必要とした。術直後の心臓カテーテル検査ではPp/Psは0.18-0.6(中央値0.31)であった。、右肺動脈狭窄に対するバルーン治療を3例で4回施行し、有効であった。再手術介入は1例で、直接吻合の右肺動脈狭窄に対し術後1ヶ月目にePTFE人工血管5mmで間置し、術後9年目にePTFE人工血管14mmにサイズアップした。その他、完全房室ブロックに対し永久ペースメーカー植え込みを1例で行った。1例で術後3年目に大動脈弁上狭窄に対してパッチ拡大術を施行した。【考察】AORPA10例の遠隔成績は概ね良好であった。術後早期・遠隔期とも右肺動脈吻合部狭窄や大動脈弁上狭窄に関しての経過観察が必要である。