[II-P46-02] ファロー四徴症弁輪温存症例の治療成績
Keywords:ファロー四徴症, 弁輪温存, 遠隔成績
【背景・目的】当院におけるファロー四徴症(TOF: tetralogy of Fallot)弁輪温存症例に対する治療成績を評価し、検討した。【対象・方法】1993年1月から2018年12月までに当院でTOFに対する根治手術を施行した症例のうち肺動脈弁輪を温存できた261例が対象。弁輪へのアプローチとして経右房経肺動脈を主体とし、右室切開を行っていない群をA群(134例)、右室流出路の小切開を加えたものをB群(127例)として比較。診療録を後方視的に参照。観察期間の中央値は100ヶ月(0~264ヶ月)。【結果】手術時月齢の中央値は12ヶ月(0~94ヶ月)、体重の中央値は8.0kg(2.6~20.7kg)。シャント手術の既往を26例(10%)に認めた。肺動脈弁尖は三尖弁が102例(39%)、二尖弁が148例(57%)、一尖弁が11例(4%)で、術前のエコーにおける肺動脈弁弁輪径はA群で84±25% of Normal、B群で76±16% of Normal(P=0.02)であった。在院死亡を1例認め、遠隔期死亡は認めなかった。右室流出路に対する再介入を10例に認め(PS:4例、PR:6例)、全体の右室流出路再介入回避率は10年97.6%、20年86.9%、A群では10年98.2%、20年87.1%、B群では10年97.0%、20年84.9%であった(P=0.37)。最終follow up時には右室流出路での最高血流速度はA群で1.7±0.5m/s、B群で2.1±0.5 m/s(P<0.01)、moderate以上の逆流はA群で30例(22%)、B群で10例(8%)(P<0.01)、肺動脈弁輪径はA群で93±18% of Normal、B群で85±14% of Normalであった(P<0.01)。最終follow up時のLVEFは70±7.3%で、心電図検査では257例(98%)が洞調律でQRS幅は111±27msであった。【結語】当院におけるTOF弁輪温存症例の治療成績は過去の報告と比較して良好であった。また、弁輪温存に際して、右室流出路の小切開を行うことによって、より小さな弁輪でも弁輪温存を可能とし、さらに遠隔期の弁機能も良好であることが示された。以上から小さな肺動脈弁に対して右室小切開を加えることの妥当性があると考えられた。