[II-P49-01] 主肺動脈の右方偏位による左右肺血流不均衡に対する治療戦略
Keywords:主肺動脈の右方偏位, 肺血流不均衡, DKS吻合
【背景】主肺動脈の右方偏位(Right deviation; RDmPA)による左右肺血流不均衡(Laterality; Late)を示す疾患群に稀に遭遇する。特にFontan循環を目指す場合、この不均衡は早期から是正が求められる。当施設では2003年に本病態を合併した三尖弁閉鎖症(TA)を経験したがFontan循環に進められなかった。本経験を同病態症例に活かすべく対応したので報告する。【症例1】非胎児診断例。TA(IIc),PDA。日齢2に当院搬送。エコーでRDmPAと瘤状拡張を認めた。日齢10 左側開胸でPDA結紮。日齢18 正中から肺動脈絞扼術(PAB)を施行。肺血流はrPAに吹き込む形態を示した。術後合併症に難渋。2歳 術中評価でBDG,DKS吻合術を施行したが術後18日にtake downを要しFontan不適例で現在に至っている。【症例2】胎児診断例。DORV,TGA,hypoLV,RDmPA,CoA,straddlingTV。日齢7 PAB,EAAA修復を施行。単心室修復とLateの可能性から生後2Moに心カテ。lPAは低形成で拍動波形無し(12mmHg)。LVEDV66%N。生後5Mo 左BTS術。生後11Mo BDG,DKS吻合,PA形成術。2歳TCPC術到達。【症例3】胎児診断例。TA(IIc),CoA,RDmPAと瘤状拡張。生後に3DCT評価を行い、日齢8 DKS吻合,CoA 修復,左BTS術を施行。生後3Mo 心カテでLateは是正されPAindex 139(rPA6.0mm、lPA4.1mm)。PA圧(15mmHg),RpI 2.2。BDG待機中。【まとめと考察】本病態ではRDmPAにより絞扼部血流が右肺動脈に向いてLateが生じるため、肺動脈弁から離断し左肺動脈低形成を是正していく必要がある。DKS吻合は主に心室流出路障害改善に用いられ、本病態からの離脱目的に使われる事は少ない。症例2は二心室修復の可能性もありPAB後の早期評価を方針としたがLateを認め、BTSで是正を行いFontanに到達した。症例3は1に類似しており初回から弁離断目的にDKS吻合を行いLate是正が確認された。【結語】RDmPAによるLateを来たす疾患群があり早期DKS導入などでの是正が有効である。