[II-P49-02] フォンタン手術適応の大血管転位型心疾患に対する肺動脈絞扼術とBTシャント手術併用の有用性
Keywords:大血管転位, 肺動脈絞扼術, BTシャント
【背景】肺血流増大をきたす大血管転位型心疾患に対してPABが施行されるが,動静脈血混合の程度によってSpO2とQp/Qsに乖離が生じ,血行動態予測がしばしば難しくなる.特に,肺血管床の重要性が高いフォンタン手術適応の症例で問題になる.本疾患群に対して当院では,心室間での動静脈血混合を促すために順行性血流がほとんど見られなくなるほどの強いPAB(tight PAB; tPAB)とBTシャント(BTS)を併用している(tPAB&BTS).
【目的】tPAB&BTSが,グレン手術までの肺血流のコントロールおいて有用であるかを検証する.
【方法】2000年以降に当科に入院した症例のうち,肺血流増大のためtPAB&BTSを施行された後にグレン手術にすすんだ大血管転位型心疾患4例を対象とした.対照群には,PABのみを施行された後にグレン手術に至った同疾患7例と,適度な肺動脈狭窄のためにPABもBTSも要さずにグレン手術にすすんだ同疾患4例,計11例を選択した.15例のSpO2と,グレン手術直前の心臓カテーテル検査におけるmPAP,Qp,Qp/Qs,Rpを比較した.
【結果】tPAB&BTS群と対照群それぞれの平均値と範囲は,SpO2 78.3(74~82) vs 72.3(52~84)%,mPAP 13.0(9~17) vs 15.6(10~32)mmHg,Qp 5.72(2.9~8.3) vs 4.62(2.3~10.3)L/min・m2,Qp/Qs 1.28(0.5~1.7) vs 1.28(0.4~2.5),Rp 1.38(0.7~1.8) vs 2.14(0.6~3.3)WU/m2であった.
【考察】SpO2は,肺血流量のおおよその目安となるが,Qp/Qsと乖離すると血行動態把握が困難となる.対照群に比し,tPAB&BTS群ではSpO2とQp/Qsの乖離が少なく,グレン手術前のmPAP・Rpがより低く保たれていた.以上から,本疾患群に対するtPAB&BTSは,グレン手術までの肺血流コントロールにおいてSpO2の信頼性が高くなるという点で有用である.
【目的】tPAB&BTSが,グレン手術までの肺血流のコントロールおいて有用であるかを検証する.
【方法】2000年以降に当科に入院した症例のうち,肺血流増大のためtPAB&BTSを施行された後にグレン手術にすすんだ大血管転位型心疾患4例を対象とした.対照群には,PABのみを施行された後にグレン手術に至った同疾患7例と,適度な肺動脈狭窄のためにPABもBTSも要さずにグレン手術にすすんだ同疾患4例,計11例を選択した.15例のSpO2と,グレン手術直前の心臓カテーテル検査におけるmPAP,Qp,Qp/Qs,Rpを比較した.
【結果】tPAB&BTS群と対照群それぞれの平均値と範囲は,SpO2 78.3(74~82) vs 72.3(52~84)%,mPAP 13.0(9~17) vs 15.6(10~32)mmHg,Qp 5.72(2.9~8.3) vs 4.62(2.3~10.3)L/min・m2,Qp/Qs 1.28(0.5~1.7) vs 1.28(0.4~2.5),Rp 1.38(0.7~1.8) vs 2.14(0.6~3.3)WU/m2であった.
【考察】SpO2は,肺血流量のおおよその目安となるが,Qp/Qsと乖離すると血行動態把握が困難となる.対照群に比し,tPAB&BTS群ではSpO2とQp/Qsの乖離が少なく,グレン手術前のmPAP・Rpがより低く保たれていた.以上から,本疾患群に対するtPAB&BTSは,グレン手術までの肺血流コントロールにおいてSpO2の信頼性が高くなるという点で有用である.