[II-P50-02] 乳児期単心室・肺動脈弁下狭窄症に対する右室流出路内ステント留置
Keywords:ステント, 肺動脈弁下狭窄, 単心室
【背景】肺動脈弁下狭窄合併単心室症例に対する初回姑息術として右室流出路内ステント留置の経験は少ない。【症例】月齢2・男児、在胎40週4日、出生体重2600g。胎児診断あり、出生後に右室型単心室症・共通房室弁・肺動脈弁下狭窄・総肺静脈還流異常症・無脾症と診断。無酸素発作に対してβブロッカー内服開始。生後16日に経皮的肺動脈弁形成術(Bandicoot® 6mm、102%肺動脈弁輪径)実施。術後SpO2上昇し無酸素発作の頻度が減少。生後2か月頃より低酸素血症が進行(SpO2=70%)し、無酸素発作頻度が徐々に増加する一方で共通房室弁逆流を2度認め、ステント留置実施。肺動脈圧=18/10(12)mmHg、PA Index=91mm2/m2、肺血管抵抗=3.11Wood Unit/m2。4Fr JRカテーテル内にマイクロカテーテルPrograde®を挿入し、ガイドワイヤーThruway®を左肺動脈へ挿入。大腿静脈より5Fr ロングシースDestination®を挿入したが右室流出路を通過できず血圧低下。血管拡張バルーンSterling® 4mmを挿入しプレダイレーションを行い、Destination®を右室流出路に通過させたところさらに血圧低下したため、胸骨圧迫を行いながらステントExpress SD® 6mmを肺動脈弁下に留置。術後肺動脈圧=20/7(17)mmHg。SpO2=80%に上昇し、共通房室弁逆流は2度に止まり自宅退院。生後3か月、定期外来受診時に低酸素血症の進行があり、胸部X線ではステント上端が離解しており心エコーでもステント内血流は減少。準緊急的に右BTシャント手術(3.5mm)実施。SpO2=85%で自宅退院。生後5か月、定期外来受診時に右胸水貯留および共通房室弁逆流増悪による心不全のため入院。両側BCPS手術及び共通房室弁形成術を実施。現在経過観察中。【結語・考察】単心室形態の児における右室流出路ステントは技術的に難しい場合があり、既存のステントではradial forceが不足する可能性がある。留置位置に関しては肺動脈弁まで覆うことで安定した開存性が得られるかもしれない。