第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

カテーテル治療

ポスターセッション51(II-P51)
カテーテル治療 4

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

[II-P51-01] 左肺動脈欠損、肺動脈弁欠損を合併したファロー四徴症の換気血流不均衡にステント留置が著効した22q11.2 欠失症候群の一例

小栗 真人1, 寳田 真也1, 岡部 真子1, 宮尾 成明1, 伊吹 圭二郎1, 小澤 綾佳1, 廣野 恵一1, 市田 蕗子1, 鳥塚 大介2, 東田 昭彦2, 芳村 直樹2 (1.富山大学附属病院 小児科, 2.富山大学附属病院 第一外科)

キーワード:ファロー四徴症, 肺動脈弁欠損, ステント

【背景】肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症(TOF/APV)は拡大した肺動脈基幹部に末梢気管支が巻き込まれ、呼吸不全を合併する予後不良な疾患である。今回我々はTOF/APVに左肺動脈欠損術後に合併した換気血流不均衡による低酸素血症に対し、ステント留置が有効であった症例を経験したため報告する。【症例】在胎40週4日に2702g、APGAR4/7で出生した女児。胎児心エコーでTOF/APVが疑われ、NICU入院後の心エコー、造影CT検査でTOF/APV、左肺動脈欠損と診断。左肺動脈血流は左総頚動脈より起始する動脈管から流入していた。拡大した右肺動脈圧排による右気管支狭窄のため、生後より右肺の過膨張を認め、日齢20に左肺動脈形成術と右肺動脈縫縮術を行った。左肺動脈吻合部狭窄に対して生後2ヶ月、5ヶ月時にバルーン拡張術を施行、1歳2ヶ月に心内修復術、左肺動脈拡大術を施行した。術後、左肺動脈狭窄は残存し肺血流シンチで右:左=80:20と左右の肺血流比の上昇を認めた。1歳8ヶ月、感染を契機に重篤な呼吸不全となり集中治療管理を要し、人工呼吸器からの離脱が困難となった。血流豊富な右肺は気管支狭窄による過膨張所見を呈し、左肺は換気良好だが血流に乏しいことが低酸素血症の原因と判断し、準緊急的にステント留置術(Express SD 5.0mm/18mm,14atmで拡張)を行った。左肺動脈近位部を1.7mmから6.6mmにステント拡張したところ、酸素化は速やかに改善し、肺血流シンチでは右:左=65:35と肺血流比の改善を認め退院した。【考察/結語】TOF/APVの合併症による右気管支狭窄と対側肺動脈狭窄から生じた換気血流不均衡が著明な低酸素血症の原因となった。低酸素血症の是正に左肺動脈ステント留置が効果的であった。