第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

カテーテル治療

ポスターセッション51(II-P51)
カテーテル治療 4

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

[II-P51-03] 大動脈縮窄症における経皮的血管形成術と血管stiffnessの検討

野木森 宜嗣, 杉山 隆朗, 加藤 昭生, 田村 義輝, 若宮 卓也, 小野 晋, 金 基成, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

Keywords:大動脈縮窄症, カテーテル治療, Stiffness β

大動脈縮窄症の治療には手術または経皮的血管形成術が選択される。経皮的血管形成術は比較的低侵襲である一方で、大動脈瘤の形成や再狭窄を生じる懸念から、特に低月例児では手術を選択されることも多い。あらかじめ経皮的血管形成術の治療効果および予後を予想することができれば治療選択の一助となる。当院で過去10年間に大動脈縮窄症と診断され治療介入されていた83症例のうち、経皮的血管形成術が行われていた20例のべ29回の治療について解析を行った。治療介入前後の圧較差と血管径に加え、収縮期と拡張期での最狭窄部の血管径変化と血圧から血管の硬さを反映するStiffness parameter βを計算し、治療後経過との関連を検討した。治療直前のStiffness parameter βは75以上(100±21)の高値群(n=4)と40以下(19±17)の低値群(n=17)に分かれ、前者では介入後圧較差や臨床経過の比較的良好な症例が集まっていた。また、治療前後でStiffness βの変化が5未満の集団では繰り返し治療介入を要する傾向にあった(n=9)。介入後に大動脈瘤を形成したのは2例で、いずれも治療前のStiffness βが中等度に高く(32, 36)、治療後には大きく下がっていた(16, 12)ことから、バルーン拡張による過度の血管損傷が示唆された。なお、低月齢児や低出生体重児であっても経皮的血管形成術を行うことで循環動態が不安定な急性期を乗り切れ、安定した血行動態で予定手術を行った症例が存在した。全身状態が不安定で手術を行いにくい症例でも、カテーテル治療を選択することで月齢や体重が小さくても有益な治療効果が得られることがわかった。