[II-P52-05] ランジオロールが有効であった新生児特発生心室頻拍の1例
キーワード:landiolol hydrochloride, neonate, ventricular tachycardia
【背景】ランジオロールは短時間作用型β1選択的遮断薬であり、近年周術期や心機能の低下した心室頻拍、先天性心疾患術後の上室性頻拍などでの安全性、有用性が報告されているが、新生児特発生心室頻拍(VT)への投与例は報告されていない。【症例】症例は在胎38週4日の定期妊婦検診で胎児頻拍が指摘された女児。胎児心臓超音波検査で心室頻拍と診断され、同日緊急帝王切開で出生した。出生体重は3058g。出生時は心拍数 170 回/分の洞調律で血圧42/28 mmHgと循環動態は安定していた。心臓超音波検査では心奇形や心臓腫瘍は認めず心収縮は保たれていた。12誘導心電図ではQT延長は認めなかった。血液検査では炎症反応上昇は認めず、血清のウイルス分離は陰性であった。出生30分後に198回/分のVTが出現した。左脚ブロック、下方軸であり、特発性流出路起源VTと診断した。VT時も血圧は58/36 mmHgと血行動態の破綻は認めなかった。リドカイン 1 mg/kg投与で洞調律に復帰し、VTの予防目的にランジオロール 5γの持続投与を開始した。ランジオロール 5γ投与下でも105回/分、血圧 52/33 mmHgと徐脈や血圧低下は認めず、心臓超音波検査上も心収縮低下は認めなかった。VTの再発を認めなかったため、日齢1にランジオロールを2.5γに減量したところ再度VTが出現した。リドカインを投与するも停止しなかったため、ランジオロールを5γに増量すると洞調律に復帰した。その後はVTなく経過した。日齢5にランジオロールを漸減中止し、β遮断薬の内服に変更した。最終的にアテノロール 1.5 mg/kg/dayで日齢20に退院となった。【結語】新生児特発性VTに対してランジオロールは安全かつ効果的に投与可能であった。