第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション54(II-P54)
電気生理学・不整脈 6

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院こどもセンター)

[II-P54-04] Holter心電図を用いた覚醒・睡眠平均補正QT時間、QT/RR slopeの検討

小栗 真人1, 中村 常之2 (1.富山大学医学部 小児科, 2.つねファミリークリニック)

キーワード:hECG, 覚醒・睡眠平均QTc, hQT/RR slope

【背景】Holter心電図(hECG)から得た覚醒・睡眠平均補正QT時間(QTc)の臨床的応用の報告は少ない。さらに近年、先天性QT延長症候群(LQTS)の遺伝型をhECG QT/RR(hQT/RR)関係から推測する試みがある。【目的】hECGから覚醒・睡眠平均QTc、hQT/RR slopeを解析し、臨床的応用を考察する。【方法】対象はhECGを施行した18例(6歳-24歳、平均13歳)。対象は、遺伝型の明らかなLQTS(5例;type1 4例、type7 1例)、学校検診で指摘されたQT延長の症例(3例)、失神精査(1例)、胸痛精査(2例)、不整脈精査(3例)、起立性調整障害症例(4例)である。ホルタ記録器および解析機器はFUKUDA DENSHI社の機器を用いた。行動記録用紙および心拍数の解析から睡眠時(5時間)、覚醒時(5時間)を判断し、平均QTc、hQT/RR slopeを抽出した。【結果】睡眠時平均QTc(426±39 msec)、覚醒時平均QTc(428±34 msec)、睡眠時hQT/RR slope(0.10±0.11)、覚醒時hQT/RR slope(0.11±0.10)、全日hQT/RR slope(0.12±0.14)であった。【考察】遺伝型が明らかなQT延長症候群症例は全例、睡眠時あるいは覚醒時平均QTcのどちらかで450msecを超える。QT延長のため外来フォローアップしている症例の中で睡眠時あるいは覚醒時平均QTcのどちらでも450msecを超えない症例がある。LQTS1と診断された一卵性双生児症例の解析では睡眠・覚醒時・全日hQT/RR slopeは負のslopeの傾向があり、失神発作を引き起こす症例がより強く負のslopeであった。【結論】1)覚醒・睡眠平均補正QT時間を用いたQT延長のrisk層別化2)覚醒・睡眠hQT/RR slopeを用いたLQTsの遺伝型、症状出現の推定の可能性を示唆する。