[II-P56-05] 成人期にRastelli手術に到達できたファロー四徴4例に関する検討
キーワード:成人期Rastelli, 姑息的Rastelli, ファロー四徴
【背景】幼少期に肺動脈低形成のため心内修復術の適応外と診断され姑息術のみで経過観察されていた症例に対し、成人期の再評価と段階的治療を行いRastelli手術に到達することができたファロー四徴(TOF)の4例を経験した。【症例】Rastelli手術の施行年齢は22-62歳、術後の経過観察期間は1-7年。性別は男女各2例で肺動脈閉鎖、MAPCA合併各2例であった。既往合併症として高尿酸血症、脳膿瘍、胆嚢炎各2例、脳梗塞1例を認めた。いずれの症例も幼少期に心内修復術の適応外と診断され姑息的にshunt手術を行い経過観察されていた。成人期になり低酸素血症や心不全のため病状が進行し易疲労、労作時呼吸苦が出現し再評価を施行。術前のSpO2は70-83%でカテーテルによる肺体血流比はいずれの症例も1以上であった。肺高血圧は認めずPAindexは99-288であった。低酸素血症の改善を目的に先行して肺動脈形成術および細めの人工導管を用いた姑息的Rastelli術を施行。1年以内のshort termで再評価を施行し心室中隔欠損の閉鎖適応と判断した症例で導管のsize upとVSD閉鎖術を施行した。全例で術前の左室収縮能低下を認めており抗心不全療法を併用し、NYHAの改善を認めた。【考察】小児期に適応外と判断されていたTOF症例で経時的に修復術が可能となる症例は存在し再評価を適宜行うべきである。全例において酸素飽和度の上昇と症状の改善が得られた。左心機能低下やその他の合併既往を持つ症例が多く、人工導管の再狭窄、逆流を含め引き続き詳細な経過観察が必要である。