第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

一般心臓病学

ポスターセッション61(II-P61)
一般心臓病学 2

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:大橋 啓之(三重大学医学部附属病院 小児科)

[II-P61-02] 左室拡張機能としてのE/ E’ におけるbody mass index z-scoreの関与

畠山 美穂1, 原田 健二2 (1.平鹿総合病院 小児科, 2.はらだ小児科医院)

キーワード:超音波検査, 左室拡張機能, body mass index z-score

【背景】組織ドプラ法による拡張早期僧帽弁輪運動速度(E’)とパルスドプラ法による左室拡張早期流入血流速度(E)の比(E/E’)は左室拡張能の簡便な指標とされ、成人領域では年齢や肥満に伴う変化が報告されている。小児においても肥満と左室拡張障害の報告は多くあるもののE/E’に影響を及ぼすこれらの因子についての知見は乏しい。本研究の目的は、乳児期から思春期におけるE/E’と年齢、body mass index (BMI ) z-score、左室形態機能などとの関係を明らかにすること。【方法】対象は乳児健診、予防接種、肥満及び心電図検診等で当院を受診し検査の説明と同意が得られた4か月から20歳までの正常小児1049人。心エコーを用いてE/E’、左室拡張末期容積(M)、左室心筋重量(V)、M/V ratio、左室駆出率(EF)、等容拡張時間(IRT)、myocardial performance index (MPI)を計測した。【結果】乳児期におけるE/E’が最も高値でその後減少し年長児でほぼ一定の値となった(r = -0.43、p<0.01)。E/E’はBMIとともに有意に減少した(r = -0.23、p<0.01)が、BMI z-scoreとの間には有意な関係は認めなかった。E/E’と心拍数、収縮期血圧, EF, IRT, MPIとの間には弱いが有意な関係を認めた(r = 0.36、-0.20, 0.14, -0.29, and 0.21, p<0.01)。左室のM/V ratioとは有意な相関は認めなかった。多変量解析によりE/E’に影響を与える因子は年齢のみであった。【結語】本研究で観察された乳児期に高くその後低下するE/E’の年齢変化は左室拡張性の生理的発達を表している可能性がある。本研究では成人における報告と異なり高いBMI z-scoreはE/E’に影響を及ぼさない。小児におけるE/E’を左室拡張動態の指標として用いる場合には他の指標と組み合わせて評価する必要がある。