[II-P61-04] 心房中隔欠損における治療後経肺動脈弁血流速度の予測
キーワード:心房中隔欠損, 経肺動脈弁血流速度, 予測式
【はじめに】心房中隔欠損(ASD)では心房間の左右短絡により経肺動脈弁血流が増加し、相対的肺動脈弁狭窄を呈するが、治療後に遺残する狭窄の程度の予測は難しい。ASD治療前後の経肺動脈弁血流速度(PA flow)の変化を検討し、治療前の心臓超音波検査の指標から治療後の狭窄の程度を予測できるか検討した。【対象と方法】当科で経過観察中の心房中隔欠損14例(男7例、経カテーテル的治療2例、治療時月齢75か月)。治療前0か月、治療後0か月に実施した心臓超音波検査所見を検討した(データは中央値)。【結果】治療前後でPA flowは1.53→0.89m/s (p<0.0001)、右室拡張末期径/体表面積比32.9→22.1mm/m2 (p<0.0001)と有意に減速、縮小した。PA flowの術前後の変化量dPA flowはASD径(3方向計測の平均、R2 0.35, p<0.05)、術前PA flow(R2 0.84, p<0.0001)と有意に関連した。この二要素から得られた予測式は術後PA flow=0.466-0.024×ASD径+0.524×術前PA flow、dPA flow=-0.466+0.024×ASD径+0.476×術前PA flowとなり、実測値との相関は術後PA flow R2 0.87, p<0.0001、dPA flow R2 0.90, p<0.0001と良好であった。【まとめ】ASD治療前後で肺動脈狭窄所見は有意に改善し、その改善の程度は短絡径と術前PA flowで予測できた。