[II-P68-03] 新生児遷延性肺高血圧にて、PGI2の離脱にSelexipagが有効と思われた両大血管右室起始症のダウン症の1例
キーワード:PPHN, selexipag, ダウン症
症例は、現在1歳男児。在胎週数41週6日、体重3513gで出生。重症新生児仮死(Apgar 1/2)のため、蘇生し救命した。顔貌は特異的であり、後に染色体検査で21 trisomyの診断となった。挿管、人工呼吸管理下で酸素100%投与でも酸素化が保てず、新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)と診断し、カテコラミン、PGI2、NOでCriticalな状態を克服した。その後はPH薬(Sildenafil, Selexipag)を導入することで、人工換気を離脱、NOおよびPGI2を終了することができた。選択的プロスタサイクリン受容体作動薬であるSelexipagは、5μg/kgより開始し、約1週間で30μg/kgまで増量、その後は同量継続投与として、PHの程度を確認しながら約2か月かけて漸減・中止した。生後4か月時のカテーテル検査では、mPA平均圧35mmHg、Rp5.4、Qp/Qs=1.2 (Qp5.4)であったが、酸素負荷にてRp3.5、Qp/Qs=2.7 (Qp7.7)と反応を認めた。生後5か月時に肺動脈絞扼術を施行後、PH薬(sildenafilに加えてbosentan追加)、在宅酸素療法を継続し、肺血管のreverse remodelingを期待した。肺動脈絞扼術時に施行した肺生検では、IPVD1.2、HE3度の所見であった。術後4か月後(生後10か月)のカテーテル検査では、mPA平均圧30mmHg、Rp4.1、左室拡張期容量104.4%N、右室拡張期容量172.4%Nであり、11か月時に根治術を施行した。PPHNの治療に難渋した症例であったが、根治術までたどり着くことができた症例を経験し、PGI2の離脱にSelexipagが有効であったと考えられたため報告する。