第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

肺循環・肺高血圧

ポスターセッション68(II-P68)
肺循環・肺高血圧 5

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科学講座)

[II-P68-05] 短時間の気管内挿管後に声門下に肉芽を形成、肺動脈絞扼術時に呼吸管理に難渋したダウン症の一例

松井 亮介, 渡邉 誠, 橋本 佳亮, 橋本 康司, 阿部 正徳, 赤尾 見春, 池上 英, 大久保 隆志, 上砂 光裕, 勝部 康弘, 深澤 隆治 (日本医科大学 小児科)

キーワード:呼吸管理, 声門下狭窄, ダウン症

【背景】数時間の気管内挿管を行い、抜管後は臨床的には喘鳴を認めないが上気道に肉芽を形成しており、肺動脈絞扼術時の呼吸管理に難渋した症例を経験した。【病歴】在胎38週1日、体重2736gにて出生した女児。ダウン症およびVSD(膜様部欠損:8mm)を合併している。生後から肝機能異常および直接ビリルビン優位の黄疸を認め、日齢34日に気管内挿管下(3.5mmのチューブ)に胆道造影検査および肝生検を施行し、胆道閉鎖は否定、胆汁うっ滞性肝炎の診断となった。挿管時間は1時間半で、抜管後も喘鳴等の症状は認めなかった。その後VSDによる心不全症状が出現、肺動脈絞扼術目的に当科搬送。超音波検査では左心系の著明な容量負荷と等圧の肺高血圧を認めた。その他の心血管系の奇形は認めなかった。心臓カテーテル検査では、Qp/Qs 3.1, Rp 4.1Uであり、肺動脈絞扼術を計画した。日齢90日、手術挿管時に2.5mmのチューブにても声門下2.5cmからチューブを進めることが出来ず、安定した呼吸管理が出来ないと判断し手術を中止した。気管ファイバーにて声門下の肉芽形成を認め、CTでは声門下 2.5cmに2.5mmの狭窄部を確認した。抜管はせずに3.5mmのチューブに入れ替え、声門下2cmに固定し人工呼吸管理を行った。チューブ位置が同部位で固定できれば安定した呼吸管理が可能であったが、同部位より深く挿入されると有効な換気は確保できない状態であった。2日後に厳重なチューブ位置の管理の下に肺動脈絞扼術を施行し、無事に手術終了となった。【考察】声門下狭窄は気管内挿管後の合併症としては良く知られており、胃酸逆流やMRSA感染が狭窄を助長する報告はある。しかし今回のように短時間の挿管管理で肉芽形成を起こした報告はなく、明らかな原因は不明である。