[II-P71-01] 中心静脈カテーテルを用いた右心バイパス術後胸腔ドレナージについての検討
キーワード:術後管理, ドレーン, フォンタン手術
【背景】開心術後しばしば胸腔ドレーンが留置され、右心バイパス手術ではとくに長期留置を要することがある。われわれは中心静脈カテーテル(以下CVC)を経縦隔で胸腔へ留置し胸腔ドレーンの代替としており、この有用性につき検討する。【対象】2011年以降に当院で右心バイパス手術を施行した26例(Fontan手術8例、Glenn手術15例、fenestrated TCPCのconduit再置換例3例)、46本の胸腔カテにつき検討した。【手技】閉胸時、16Gまたは14GのシングルルーメンCVCの末端5cmまでに2-3個の側孔をあけ前胸壁より刺入、胸腔内へ留置した。三方活栓を接続し、術後適宜シリンジで吸引し排液。排液量が多い場合はコネクタを接続し持続吸引した。抜去タイミングは排液減少をみて個別に決定した。【結果】全症例でCVC留置されており、6例で片側、20例では両側へ留置していた。留置期間は2~24(平均6.4日)で、Fontan症例では5~24(平均10.2)日、Glenn症例2~7(平均4.6)日と有意な差がみられた。34本は7病日以内で抜去されていたが、14日をこえての留置例もFontan症例で3症例、3本認めた。胸水は最大で1日100mL程度吸引しえた症例もあるが、いずれもドレナージ良好であり、留置中の閉塞や刺入部感染を認めなかった。この間、患児は移動や寝返りなど容易に管理しえた。持続吸引は1日吸引量が多い3例、3本に対して行ったが、7日、23日、24日に排液減少し抜去しえた。【考察】当科での使用経験ではCVCを用いた胸腔ドレナージの早期閉塞は認めず、留置による縦隔炎をはじめ感染も認められなかった。CVCによる胸水ドレナージは従来の胸腔ドレーン留置にくらべコンパクトで、長期にわたる留置でも離床の妨げにならない利点がある。胸水量が多い場合は持続吸引での管理も可能であり、胸水の管理が長期化する右心バイパス症例での管理に対して有用と考える。