[II-P71-04] 小児期に外科的修復術を行ったScimitar症候群adult formの1例
Keywords:Scimitar症候群, adult form, 外科的修復術
【背 景】 Scimitar症候群は先天性心疾患の0.06 %と稀な疾患で, 右肺低形成, 右肺静脈還流異常, 右下肺への迷入動脈流入を呈する. 合併心奇形としては高頻度にASDを合併し, その他VSD, PDA, PLSVCなどの報告がある. 臨床的には新生児, 乳児期早期から呼吸器症状, 心不全を呈するinfantile form, 新生児, 乳児期に症状はなくその後も呼吸器症状が軽度であるadult formに分類され, 合併心奇形やScimitar vein狭窄合併の有無が予後を左右するとされる. 【症 例】 12歳男児. 10歳時に繰り返す腹痛の精査で行った造影CT検査で偶発的にScimitar症候群と診断された. 合併心奇形はASDのみで, Scimitar vein狭窄の合併も認めなかった. Adult formでは未手術例の長期生存の報告もあり, 外科手術により術後Scimitar vein狭窄のリスクもあるため, 自覚症状のない現状では外科手術をせずに経過観察の方針が妥当であると判断した. 腹部大動脈から右下肺への迷入動脈の閉鎖により, Scimitar veinに対する外科的介入のタイミングを遅らせたり, 介入の必要性を減らすことができる可能性があるとする報告もあり, 10歳時に腹部大動脈から右下肺への迷入動脈に対しコイル塞栓術を行った. その後も自覚症状の出現なく経過したが, 12歳時に両親の希望が強く外科的修復術を施行した. 術後3年が経過した時点でScimitar vein狭窄の出現は認めず順調に経過している. 【結 語】 Adult form例に対する手術介入の適応に関しては議論の余地があるが, 今後も引き続きScimitar vein狭窄に注意しながら慎重な経過観察が必要である.