第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション71(II-P71)
その他 2

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:東 浩二(千葉県こども病院 循環器内科)

[II-P71-06] 小児循環器科医が行うOD(起立性調節障害)外来

小川 禎治, 林 賢, 久保 慎吾, 上村 和也, 松岡 道生, 三木 康暢, 亀井 直哉, 富永 健太, 田中 敏克, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器科)

キーワード:起立性調節障害, 失神, ヘッドアップティルト

【背景】意識消失の原因精査目的で循環器科に紹介されてくる児の多くはいわゆる起立性調節障害(OD)である。そこで当院では循環器科の外来枠の一つとしてOD外来を開設した(以後、意識消失以外のOD症状のみを持つ患児も多数紹介されてくるようになっている)。【方法】開設後2年8ヶ月間のOD外来の診療状況についてカルテを後方視的に調べた。【結果】初診患者数は237例(89例/年)で、循環器科外来の全初診患者数の12%を占めていた。4割の症例が意識消失例で、6割の症例は意識消失以外のOD症状のみであった。フォンタン術後などの先天性心疾患症例が18例、期外収縮やQT延長症候群疑いなどの不整脈・心電図異常の症例が12例、含まれていた。検査数は、起立試験が25例/年、ヘッドアップティルト試験が81例/年であった。診断は、起立直後性低血圧が22例、体位性起立頻脈症候群が116例、血管迷走神経性失神が67例であった。【考察】小児の意識消失の73%は自律神経調節障害によるものであり、心原性失神は3%に過ぎない。よって、意識消失の原因検索においては、重篤な結果をもたらしうる心原性失神について注力するのは当然であるが、自律神経の調節に関しても判断が求められる。上記のように先天性心疾患合併例がOD症状を呈する場合が多いこと、ふらつきや意識消失が自律神経によるものか不整脈によるものかの鑑別が重要となる場合があることなどからも、循環器科医がOD外来を行う意義は大きい。必要に応じて精神科や神経内科と連携することも有用である。