[II-TRP04-04] 補助人工心臓を離脱した幼児患者の一症例
Keywords:補助人工心臓, 離脱, リハビリテーション
【緒言】補助人工心臓(VAD)離脱に至った小児患者の離脱後の運動指標は明確でなく、報告は少ない。今回、VAD離脱に至った幼児患者の運動負荷について検討したので報告する。【症例紹介】拡張型心筋症に対し体外設置型 左心VADを装着した2ヶ月女児。装着術後、順調に経過していたが、カニューレの体内破断による出血性ショックに伴う低酸素脳症を合併し、不全四肢麻痺を呈した。VAD装着下の心不全治療継続により心機能の改善を認めたため、装着術後530日にVAD離脱術を施行した。【経過】VAD装着術後、リハビリテーションを開始し、寝返り、坐位、立位練習まで実施した。VAD装着時安静時HRは110台、啼泣時に140台まで上昇する状況であった。離脱術後、2日目からリハビリテーションを再開した。術後3日目までは啼泣し愚図る様子があったが、経過とともに機嫌は良好となった。循環は安定しており顔色は良好で末梢冷感なし、HRは安静時110bpm台で経過し、PT実施中、興奮にて一過性に150bpmに上昇したが、概ね120-140bpmと安静時HRから20%程度上昇する範囲で推移した。退院前にはほぼ、離脱術前と同等のプログラムを実施可能な状態であった。【考察】本症例の循環動態の評価として、HR、BP、および他覚的所見として顔色や末梢冷感など心不全症状の有無を評価した。安静時HRより20%程度上昇する運動負荷で、安全かつ効果的なリハビリテーションが行え、幼児の運動負荷として概ね問題はないことが示唆された。【結語】VAD離脱後の幼児のリハビリテーションの運動負荷は、安静時HRより20%程度上昇する範囲であれば安全に実施可能であった。